一昔前までは、祭りの屋台のなかには必ずといっていいほど「金魚すくい」があった。和紙の張られたポイを扱うのは難しく、1匹も取れなかったこともある。

 金魚はフナが突然変異したもので、観賞用に交配してさまざまな色や形を作り上げた。日本に伝来したのは室町時代で、庶民にも広がったのは江戸時代といわれている。金魚の三大産地は、愛知県弥富市、東京都江戸川区、奈良県大和郡山市だ。

 このなかの大和郡山市では毎年、「全国金魚すくい選手権大会」なるものを開催していて、今年で第23回を迎える。大会が行われるのは8月第3日曜日(日曜日が5回ある場合は第4日曜日)。この日は「金魚すくいの日」でもあり、事前に各地で行う予選を突破した人々が腕を競い合う。
 大会では、個人戦(小中学生の部・一般の部)と、3人1組の団体戦を行う。ポイは1人1枚のみ与えられ、4cm前後の和金が約1,000匹も投入された水槽から3分間ですくいあげた数を競うものだ。

 ほかにも、細かい規定が定められている。水槽のサイズは縦136cm×横65cm×深さ23cmで、水深は10cmとなる。使用するポイは5号という内径8cmのものを使用。この持ち方も決まっていて、柄の部分だけを持つことが定められている。円の分を持つことは禁じられており、指がかかってもNGだ。団体戦の場合はポイの共有や交換が反則行為となる。

 競技中は水槽長辺のコーナー間に体を置き、ポイを持った手だけを動かす。ポイを持った手で金魚を入れるボウルを動かすことは可能だが、もう一方の手で持つことは許されない。金魚をすくうときにひじ関節を水の中に入れてはならず、水槽の壁を使ってすくう「壁すくい」も反則だ。
 こうした反則行為を3回繰り返すと競技停止となり、反則行為によってすくった分はカウントされない。また、体育館シューズやスポーツシューズの着用も義務付けられている。

 同大会では金魚すくいをスポーツとしてとらえており、優秀な選手には段位が与えられる。連盟標準公式規定に準じて開催される競技会において、主催者が発行する競技成果の認定証を連盟本部に提出、さらに段位認定員会の議決を経ることが条件だ。
 目安としては、競技会へ1回以上出席し、9位・10位に入賞すること、そして技能秀抜かつ人格適正者は初段となる。この「技能秀抜かつ人格適正者」という条件はすべての段位に該当する。

 競技会の出席が2回以上、優勝1回・準優勝1回以上の入賞で七段相当となるが、八段以上は名誉段位となる。「金魚すくい愛好者でかつ技能秀抜、人格適正、連盟の事業に功績顕著な者」に与えられるという。
 第17回大会では、87匹という記録が叩き出された。この数字を打ち出した選手が優勝しているが、昨年の個人戦優勝者の記録は43匹。決勝前に最高記録が出る場合もある。

 現在はこのように競技化してはいるけれど、金魚すくいは年齢を問わず、だれでも楽しめるのが魅力。屋台を見つけたら挑戦してはいかがだろうか。