独自の世界観を持って理想を学び、考える人へ聞く1週間集中インタビュー企画。今回登場していただいたのは、又吉直樹さん。ベストセラー『火花』『劇場』の作者であり、最近では小説家としての活躍も目覚ましい。しかし忘れてはならない。又吉さんの根底を貫くもの、それは「お笑い」だ。芸人・又吉直樹に7つの質問から迫る。
Q3.プロを目指して東京NSCへ。当時はどうやってネタを考えていましたか?

バイトせずにネタを作り続けた

――高校卒業後NSCの養成所に通われました。

又吉 東京のNSCに通っていたんですけど、そこでは講師の方に「24時間お笑いのことを考えなアカン!」とか言われるわけですよ。他の生徒はみんな元気よく「ハイ!」とか言っている中、当時の僕はそういうのを聞くと「えっ…」って思ってしまうタイプで。「24時間は物理的に無理やろ。寝る時間もあるし」って思っていたんですよ(笑)。

 でも考えるネタの数は多かったと思います。NSCではネタ見せの授業が毎週あって、優秀なコンビでも新しいネタは1ヶ月に1本くらい。そんななか、僕は毎週ペースでネタを作っていました。すると、他の人から「又吉君は何でそんなにすぐネタできるの?」と言われるんです。そのときは「え、夜中とかに散歩したら自然とできるけど」と嘘をついていました(笑)。

――たしかに、そう答えると天才っぽいですね(笑)。

又吉 本当は朝から晩までファミレスでずっと粘って作っていました(笑)。他の養成所のみんなは週3くらいバイトして、空いている時間でネタを作っているのですが、僕はバイトをしていなかった。普通に毎日考えているだけでネタは多く作れるんですよね。

 ちなみに、僕もバイトの面接は何度か受けたんですよ。でもなかなか受からなくて。歌舞伎町のカラオケ店の面接を受けにいった時なんて「歌舞伎町に来るのは初めて? この辺は危ないお店あるから気をつけて帰りなよ」と言われたんです。「あっ俺、絶対落ちたな」と、完全にその一言で心が折れました(笑)。

 こんな感じでバイトに落ちまくっていたので、もういいやと思ってバイトは諦めてネタを作っていましたね。まあ、僕と同じくらい時間かけたら誰でもネタはできるもんです。当時の僕は「又吉って才能あるな」という周りの雰囲気を出したかったんでしょうね(笑)。

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