独自の世界観を持って理想を学び、考える人へ聞く1週間集中インタビュー企画。今回登場していただいたのは、又吉直樹さん。ベストセラー『火花』『劇場』の作者として、最近では小説家としての活躍も目覚ましい。しかし忘れてはならない。又吉さんの根底を貫くもの、それは「お笑い」だ。芸人・又吉直樹に7つの質問から迫る。
Q5.作家の執筆と、芸人のネタ作り、共通点はありますか?

「誰かを正せるほど、正しいやつはいない」

「学考」又吉直樹 前回記事:「もし大喜利のお題で一発ギャグが出たら…」又吉直樹流、”ニガテ”の克服法

――作家としての創作活動と、お笑いのネタ作り。共通する部分があるのでしょうか。

 

又吉 「やらないと終わらない」ことは共通していますね。避けても避けても常に頭の中にありますし、締め切りもある。当然、誰かが代わりにやってくれるということもない。そういうのがあるので、いざ作るときの覚悟というか、「よしやろうか」という瞬間はどちらも共通していますよね。

――なるほど。反対に違いはどこですか?

又吉 小説は少し取材が必要ですけど、お笑いの場合は取材してネタを作ると逆に伝わりづらかったりする。お笑いは僕が知っている範疇の中で作った方がいいのかなあと思っているので、そこが違う部分かもしれません。ほかには、『火花』は貧乏芸人時代を忘れないために、六畳一間のアパートにこもって書きましたけど、お笑いのネタは街で歩いているときに思いつきますね。

――芸人としてのネタ作りですが、小説を書いたことで何か変化はありしましたか?

又吉 ネタ作りのときに「小説的なアプローチも試せるかも」と思うようになりました。でも、実は小説風のコントには前例があって、まあ無理してやる必要はないかなと思って作ってはいないです。ただ、僕が作るコントも小説も、「誰かを正せるほど、正しいやつはいない」という共通点はありますね。僕がボケで綾部がツッコミなので、一見すると綾部が常識あるように見えると思うんです。でも、物語が進行していくと「あ、こいつもアホなんや」、「どっちもアホやん」ってなる(笑)。

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