ノンフィクション作家、谷川彰英が名古屋をたどる。寺院の数が日本一多い愛知県。『名古屋地名の由来を歩く』(著・谷川彰英)より、名古屋の街並みの魅力を紹介する。

名古屋駅近くの広大な公園

 名古屋駅の新幹線側の街一帯は「則武 (のりたけ) 」 (名古屋市中村区)という町名になっている。さらに北に足を運ぶと「則武新町」(名古屋市西区)という町名がある。その「則武新町」には「ノリタケの森」という公園がある。ここは明治37年(1904)一枚のディナー皿が つくられた記念すべき場所である。この一枚の皿から「ノリタケ」の歴史が始まった。

 さして焼き物に興味があるとはいえない私でも、ノリタケチャイナがディナーセットで有名なことくらいは知っている。普段の生活にはほとんど関係のない代物だが、その作品の上品な美しさは誰でも知っていよう。「チャイナ」とは英語で陶磁器のことで、それとは別に「ジャパン」とは漆器のことを指している。 

ノリタケチャイナを生産した工場

「ノリタケの森」に足を踏み入れてびっくり! 、  大都会の中心駅のこんな近くに、これほど までの広大な敷地を有していることにまず驚く。入り口を入ると、見事なレンガ造りの建物が立ち並び、ギャラリーやレストランなどになっている。これらの建物は創業当時の工場であったという。

 ギャラリーには、何百万もするようなノリタケチャイナがずらりと並んでいる。これは何としても見てみたい。これほどまで高価な作品がずらりと並んでいるのは圧巻だ。ちょうど、東日本大地震のあとだったので、余計なこととは思いながら「地震対策は大丈夫ですか?」 と聞いてみた。 「ええ、まあ……」という反応だった。

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