戦後民主主義のヒーローとしての信長の真実の姿は歪められている?真実の信長像を知ることで、新たな日本史の歴史観が構築される! 気鋭の保守の論客倉山満が挑む新境地! .絶賛発売中の『大間違いの織田信長』(KKベストセラーズ)を上梓した、倉山満氏が人間信長の魅力に迫る!

天才・最強・超人・肥大した信長イメージ

織田信長 銅像(愛知県清須市、清須公園)

 織田信長が本能寺の変で殺されなかったら、日本の近代化は三百年早かっただろう…式の解説が後を絶ちません。中には、「織田信長は生きていたら世界征服をしただろう。それだけのスーパーマンだったのだ」とすら言い出す人もいます。さすがに、マンガのイメージですけど。

 最近のNHK大河ドラマでも、ある種の〝信長タブー〟があります。というのは、「信長を凡人として扱ってはならない」という、強迫観念のような感じです。二十一世紀の作品を並べますと、「真田丸」「軍師官兵衛」 「江~姫たちの戦国」「天地人」「功名が辻」「利家とまつ〜加賀百万石物語」 で信長は主要人物として登場しています。 そのすべての作品で、「戦国で最も傑出した人物」「誰もが恐れた武将」「他の大名とは格が違う」 などと、要するに「最強キャラ」として描かれ、はては「天皇になろうとした覇王」というフィクションまで付け加えられる場合もありました。

 小説家や評論家はえてして権威を否定した人、たぐいまれなる天才、神になろうとした人、人を人と見ない残虐な人 、として描きます。学者さんでも専門外の人だと、これらのイメージに引きずられることがあります。

 最初に言っておきます。みんなが知っている「織田信長」のイメージと、信長を専門とする研究者の示す信長像は、まったくの別人と言ってよいほどです(詳しくは、日本史史料研究会編『信長研究の最前線』洋泉社をどうぞ)。私は信長を、史実の信長と全く別人の超人として描くことに違和感を持ち 、本書を書こうと思い立ちました。。

 ただし、誤解しないでください。私は信長の超人性を否定することで信長を貶(おとし)めたいのではありません。むしろ、信長の真の魅力を伝えたいのです。

 まずは全体像を摑んでいただくために「信長は権威をないがしろにしたのか」「信長は室町幕府を滅ぼしたのか」「信長は革新的な人物だったのか」「信長は戦争の天才だったのか」について、一つひとつ確認してみます。

『大間違いの織田信長』(著・倉山満)より構成〉

明日は『戦国時代はヤクザの世界!?』

大間違いの織田信長②信長が生きた戦国時代です。