「福島では勝つけど、甲子園では勝てない」

 ストレス。
 聖光学院が広陵に敗れた瞬間、真っ先にそのフレーズが頭に浮かんだ。

 優位に試合を進めていた展開で、6回にマークしていたプロ注目の中村奨成に同点打を許し、9回には決勝本塁打を浴びての敗北。チームは初のベスト4進出を目指しながら、3回戦で甲子園を去った。その無念は推して量るべし、である。
 斎藤智也監督は、ここ数年、このような趣旨の言葉を何度も口にしている。

「強豪を『倒す』と思っているようじゃダメ。どんな展開でも簡単に屈することなく、真っ向勝負で勝っていかないと、本当の強いチームと認めてもらえない」

 優勝候補の広陵相手に、屈することなく戦った。しかし、真っ向勝負で負けた。その現実へのストレスは少なからずあるはずだ。

「福島では勝つけど、甲子園では勝てない」

 近年、聖光学院に対して、こんな厳しい声が目立つようになった。

 夏の甲子園に11年連続で出場と、福島県では無類の強さを発揮する。その間、ベスト8は4度。春夏通算でも22勝18敗と勝ち越しており、勝っていないわけではない。ただ、日本一という金看板がない限り、「名門」と認められないのが高校野球なのだろう。

 だが、そんなことは、周り以上に斎藤監督はじめチーム全員が心に刻んでいる。勝っているのに、勝てない。そのパラドックスとの戦いは、今に始まったことではないのだ。

 最初に斎藤監督が「ストレス」とはっきり言ったのは、2013年の秋だった。