戦後民主主義のヒーローとしての信長の真実の姿は歪められている?真実の信長像を知ることで、新たな日本史の歴史観が構築される! 気鋭の保守の論客倉山満が挑む新境地! .絶賛発売中の『大間違いの織田信長』(KKベストセラーズ)を上梓した、倉山満氏が人間信長の魅力に迫る!

江戸時代の信長は関脇クラス!?

織田信長像(神戸市立博物館蔵、重要文化財)

 信長のイメージというのは大きく分けて、江戸、明治から昭和戦前、そして昭和二十年以降の三つに分かれます。

 まずは江戸時代ですが、当時の最大のヒーローは誰かというと、別格で徳川家康です。当時の政府を作った人ですから、当然でしょう。ですが、庶民の知名度は意外と低く、ほぼゼロに近いのではないかという話もあります。例えば浮世絵で家康が扱われた実績はゼロです。神様なので扱えないからです。今の感覚で言うと、今上陛下のお父さんが昭和天皇で、そのまたお父さんが大正天皇。次が明治天皇と、ここまで皆知っていても、現在の皇統の祖となった光格天皇は一般知名度がゼロだというのに似ています。それに今だって昭和天皇や明治天皇をドラマにするのには勇気がいると聞きます。それと同じ感覚だと考えてください。

 江戸時代の家康は別格だとして、戦国武将では秀吉がダントツです。理由は、日本で一番出世した男だからです。

 家康が別格、秀吉が横綱、続いて大関の武田信玄と上杉謙信で、信長はその下ぐらいでした。よくて関脇ぐらいですが、下手すれば明智光秀より下です。信長が光秀に負けていて、光秀は秀吉に負けているので、秀吉が一番偉いのです。

 これは、桶狭間の戦いで信長の奇襲を受けて殺された今川義元を、信長より偉いという人がいないのと同じ理屈です。江戸時代の庶民感覚で言うと、結構良いところまで行ったのに、最後に油断してどてっぱら空けて寝てたら殺された、というイメージなのが信長です。

 江戸時代の講談で言うと、秀吉なら満員になりますが、信長はまず主役になりません。

 学者の間でも評価はボロクソで、その筆頭が新井白石です。能力から人格までことごとく批判しています。それはやりすぎと思いますが。

 江戸後期に頼山(らいさん)陽(よう)が『日本外史』で持ち上げたくらいですが、秀吉や家康と比べると、全然マイナーです。

 

『大間違いの織田信長』(著・倉山満)より構成〉

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