井伊家や今川家にとって脅威の存在であった、戦国最強の武将・武田信玄。これまで劇中では会話のなかで頻繁に名前が挙がっていた存在。そんな信玄がついに登場した。信玄役を演じるのは松平健。これまで様々な名優が演じてきた信玄をどのように演じていくのか、松平健に聞く。(「歴史人」2017年9月号より)
 

ーー松平さんが抱く信玄像とは。

「雄々しく力強い部分と冷酷さを持ち合わせている武将。それでいて自分の支配する領民には、すごく手厚く守るという人間味もある。今までいろんな武将を演じてきて、この武田信玄は若い時からやりたいと思っていたので、今回挑戦する機会をもらって大変嬉しく思っています」

ーー演じてみてご感想は。

「やっぱり面白いですね。人間性はもちろんですが、坊主に髭というスタイルや衣装も印象的です。坊主ですけど、ヘアメイクに2時間半ぐらいかかるんですよ」

ーー江戸時代の殿様と戦国武将では芝居の気構えは変わりますか。

「もちろんです。江戸時代は天下泰平ですから、どこかノホホンとするところがある。一方、戦国時代は生死をかけた人生。やるかやられるかです。それなりの表情と緊張感を持ってやっています」

 

中盤を迎えた物語のなかで、メジャー級の武将の登場は、波乱を予感させる新風を吹き込んでいる。しかも、松平が表現する“少しお茶目”な信玄像は新鮮味があり、話題を呼んでいる。

ーー芝居で心がけていたことは、どんなことでしょうか。

「強いだけだと面白くないと思いました。強さを表すなかで、やんちゃというか、かわいいいところも、ちょっと表現したりして、自分なりの信玄を作っています。出番は少ないですけど(笑)、その中でも人間・武田信玄を感じられる、いろんな表情や表現を楽しんでもらえると思います」 

ーー信玄を演じるにあたって、参考にした役者はいますか。

「自分の師である勝新太郎(故人)師匠ですね。台本を読んで、師匠だったら、この場面でこんな芝居をするんじゃないかって、頭に浮かんだとはありました」

ーー舞台裏で印象に残っているエピソードはありますか。

「私の芝居を見て、スタッフや演者が笑ってくれたこと(笑)。喜んでもらえたな、と」

ーーどんな芝居だったんでしょうか。

「ある武将が死んだという知らせ聞いて信玄が喜ぶシーン。その感情をダンスで表現しました(笑)。所作の先生と相談して、そこまではいいでしょうと了解もらって、阿波踊りみたいなダンスをオリジナルで。使ってもらえるかわからないですけど、全身で表現しました」

(「歴史人」2017年9月号より)