KKコンビの真実

 前回、Number出版部から刊行された『Number甲子園ベストセレクションⅠ 9人の怪物を巡る物語』に収録された9人の理由を聞いた。『Number』が考える「怪物」とは、単に自らが飛び抜けた選手であるだけではなく、相手チームやライバルたちをも輝かせる「怪物を生む怪物」というものだった。

 では、桑田真澄と清原和博のKKコンビの場合はどうなのだろうか。今回は、話題の本『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文藝春秋)の著者でもある『Number』編集部の鈴木忠平さんを交え、KKコンビの真実に迫る。

『9人の怪物を巡る物語』のKKコンビの章は、「怪物が覚醒させた怪物」と題し、1985年春の準決勝、高校野球史に残る“ジャイアントキリング”として語り継がれるPL学園と伊野商の一戦から始まる。

清原だからこそ引き出された快投

 ここで焦点が当てられているのはKKではなく、清原から3三振を奪って試合の主役となった伊野商のエース、渡辺智男。社会人野球を経て西武ライオンズに入団し、90年の日本シリーズでは甲子園以来の対戦となる巨人・桑田と再び投げ合い、史上8人目のシリーズ初登板初完封という離れ業を演じた投手だ。

「渡辺さん本人は、肘にケガを抱えて一度は野球をあきらめたぐらいなので、本当はプロになるつもりはなかったそうです。でも、優勝候補の大本命だったPL学園を封じ込め、清原さんから3三振を奪ってかすらせもしなかったことで、『自分がここまで投げられるんだ』と気づかされた。清原という怪物と対戦したことにより、渡辺さんの本当の力が解き放たれたのでしょう」

 そう話すのは、この原稿を執筆した『Number』編集部の鈴木さん。
 鈴木さんが言うように、読んであらためて思うのは、3三振した側の清原のすごさだ。傍目からは無名校のエースがすいすいと快投を演じたようにも見えたが、当時の渡辺投手は怪物清原に対する恐怖心でいっぱいだったという。
 

 

「第一打席、フルカウントから高めの速球で三振に仕留めたときの清原さんの空振りを見て、渡辺さんは『当たったら間違いなくスタンドまで行く』と感じたそうです。その恐怖心があったから全球、めいっぱい必死に投げた。あの快投は、清原さんという怪物が引き出したものだったのです」(鈴木さん)