銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻める「棒銀戦法」。加藤一二三氏が、将棋人生を通してこだわった戦法だ。研究されてもブレずに貫き通す。その信念が、62年10ヵ月にも及ぶ棋士生活を支えた。

敵陣を短期決戦の電撃作戦で突破できる「棒銀戦法」

 銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻める棒銀戦法ですが、僕はこの戦法が大好きですね。定番の戦法ですが、私は棒銀戦法にこだわっていますから、「加藤棒銀」や「棒銀の加藤」と言ってもらっています。最近『無敵棒銀』という本を出しました。

 棒銀戦法の長所は、いち早く棒銀が前線に出動し、敵陣を短期決戦の電撃作戦で突破できる点です。私は、この棒銀戦法が理想的な形で決まり、今までたくさん勝利を収めてきています。

 最初の成功例は21歳の時。NHK杯の戦いでした。余談ですが、今でこそNHK杯戦はテレビ中継されていますが、私が戦った昭和36年当時はラジオ対局だったのです。このときの相手は大山康晴名人、決勝戦でした。この戦いでは見事に棒銀戦法で勝ち、優勝しました。

 以来、今に至るまで棒銀戦法でたくさん指してきましたが、昭和36年のNHKの決勝が一番大きな成功だと思います。

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