産んでも産まなくてもこれでよかったと思える人生のために。女として「自分が主語」の人生を楽しむためのヒントがある。34歳で子供が欲しくなり、40歳で不妊治療をやめたコラムニスト吉田潮の体験。妊娠した時のこと、そしてその後のこと。『産まないことは「逃げ」ですか?』より紹介する。

母性のホントの正体は昭和の刷り込み・負の遺産

 人様が抱くイメージは面白いなぁと思う。ライターなどというヤクザな稼業で、酒もタバコも過剰にたしなみ、夜明けのオカマ声でイレギュラーなサイズのボディ(身長176センチ・体重74キロ)をもつ私。世間が抱く「母性」とはなかなかに縁遠いと思われがちだ。

 なぜか結婚していると思われないし、私が書いた原稿を読んで、「てっきり男だと思っていた」という人も実に多い。なぜかしら。最近は意図的に「オンナ言葉」を入れて、文章の女コスプレをしているというのに。心外だわ。

 でも、数人の友達から言われたことがある。「潮が子供を小脇に抱えている姿は似合うと思う」と。ベビーカーじゃなくて小脇に抱えるってのがポイントなんだけど。長くてたくましい二の腕で、赤子をがっちり抱きかかえてあやすお母さん像をイメージしてくれる人もいたのだ。イメージって人それぞれなんだなぁと思った。

 以前、子供を産んだ女友達の家へ遊びに行った時のこと。彼女が赤ちゃんを抱っこしている姿よりも、彼女の夫が赤ちゃんを抱っこしている姿のほうがしっくりきた。男のほうが実は子育てに向いているんじゃないかとも思った。同時に、私自身が「赤ちゃん=母と一緒」という勝手なイメージを押しつけていたのだと気づいた。母性ってものすごく勝手なイメージの刷り込みなんだよね。

 もうそれ自体が昭和。昭和の負の遺産なのだ。

 
次のページ 母性コスプレ