産んでも産まなくてもこれでよかったと思える人生のために。女として「自分が主語」の人生を楽しむためのヒントがある。34歳で子供が欲しくなり、40歳で不妊治療をやめたコラムニスト吉田潮の体験。妊娠した時のこと、そしてその後のこと。『産まないことは「逃げ」ですか?』より紹介する。

家族連れを見るのがツラかった

 休日は、日本全国どこでも、家族連れを見かける機会が増える。人がいないところであっても、日曜日のニュースでは「全国の行楽地は家族連れでにぎわっていました」という文言を聞くことになる。

 父と母の間に子供、あるいは小さな赤ちゃんを抱いた母親、あるいはおなかの大きな妊婦さんとその夫、あるいは子供と母親と祖母の3人組。生殖に成功した人々のユニットは、しばらくまぶしくて見られなかった。家族連れが自分の視界に入ると、すぐに視線をずらしていた。

 同じ顔をしたユニットに対して、「私はそのユニットを組むことができなかったよ……」とやるせない気持ちになったからだ。同じ事務所所属なのに、人気グループに入れなかったような感覚。自分はスポットライトを浴びることができないんだなと、打ちのめされた感じかな。

 
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