僕をフッた彼女が好きだったあのエスニック、親父と食べたプレハブ小屋のあのラーメン…。「クックパッド芸人」藤井21が、これまでの苦く切ない思い出を振り返り、その思い出をスパイスに自慢の料理をふるう。思い出は愛しい。その思い出にまつわる愛しき料理。そう、タイトルの「めめし飯」とは「女々し飯」と思わせ、「愛々し飯」。見たらあなたもちょっと作ってみたくなるような。自分の思い出の引き出しも開けたくなるような。そんな料理の新提案。
今回は、藤井さんの出身地「東松山」のソウルフード「やきとり」についてアツく語ります。ちょっと長いですが、どうか最後までお付き合いください。

東松山の「やきとり」がひと味違う!

 夏も終わりましたが、 まだビールが美味しい季節ですね! 

 僕にとってのビールに合う最強の肴は「やきとり」です。

 まず「やきとり」を食べる所を想像してみて下さい。「やきとり」って店に入る前から既に始まっているもんですよね。

~陽が落ちても尚蒸し暑い夏の繁華街に繰り出すと、そこには灯を灯した赤提灯が並んでいる。芳しい匂いに釣られて暖簾をくぐった先には、もうもうと煙が立ち込めている。 カウンターには白いワイシャツに汗ジミを作ったおじさん達が上機嫌で酒を酌み交わしている。席に座り取り敢えずキンキンに冷えた生ビールで喉を潤す。程なくして目の前に置かれたジュウジュウと焼けた「やきとり」。 串を持って「やきとり」に貪りつき、そしビールをグイと流し込む~ 

 ジャステイス!

 花輪和一さんのエッセイ『刑務所の中』風に言うなら「やきとり」が目の前に来た時点で「ビューだよビューだよ!」と叫ばずにはいられません。

 やはり「やきとり」は紛うことなき正義ですね 。

 そうそう、ここまでお気づきの方もいらっしゃるでしょうが「焼き鳥」ではなく「やきとり」と表記しているのは、決して僕が漢字検定3級も取れない様な人間だからではありません。「焼き鳥」ではなく「やきとり」で正解なんです。

東松山の「やきとり」。これに味噌だれをつけて食べる(東松山市HPより)

 というのも理由があって、実は僕の地元埼玉県の東松山市では、「豚のかしら肉」(豚の頭部の肉でほほのあたりの肉の事)を串に刺し炭火で焼いたものに、ピリ辛の味噌だれをたっぷり塗って食べる、これが「やきとり」なんです。

 そして鶏肉を串に刺して焼いたものは「焼き鳥」なんです。

 鶏肉のものと区別する為にひらがな表記になっているらしいです(諸説あり)
 豚肉でもやきとり。「やきとん」でも「焼き鳥」でもなく「やきとり」。
 何でと言われても小さい頃から「やきとり」と呼ぶ環境で育ったのでそれが普通なんです。市内のやきとり屋はどこもひらがな表記になってます。

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