カイガーマンあるある

連載「母への詫び状」第四回〉

 親を自宅介護している者同士の会話で、「うちは要介護度が3なんですよね」「ああ、3ですか。うちは要介護度4に上がったんですよ」と、相手より介護度が重いことがわかると、ちょっとだけ勝ったような気分になる。しかし、そこで相手が要介護度5(もっとも重いランク)だとKO負け。話が続かない。 

 こんなふうに介護をネタにジョークっぽいことを書いたら、不謹慎と怒られるのだろうか。

「カイガーマン」というのは、介護する人の呼称として何かポップなネーミングはないだろうかと、考えてみた。介護男子、介護女子より、カイガーマン、カイガーウーマンのほうが正義の味方みたいでカッコいい。

 認知症の父に暴力を振るわれて、真っ赤な生傷が絶えないカイガーマン・レッド!
 シモの世話に追い回されて、家じゅうがトイレ状態のカイガーマン・イエロー!
 よしなさいって。これを部外者が口にしたら一発アウトだろうが、実際に介護している人が自虐的に言う場合のみ、ギリギリでセーフだろうか。

 ひとくちに介護といっても、それを取り巻く状況、大変さは、人によって大きく違う。シモの世話が必要か。徘徊があるか。これだけでも過酷さは一気に上がる。

 この連載の第一回で、介護は悲しいことばかりじゃなく、幸せな出来事だってたくさんある、と書いてみたものの、「それはあんたの話だ。うちは違う」と反論されたら何も言えない。

 うちはまず父親が認知症になった。徐々に進行していき、家がわからなくなって警察のご厄介になったという話を聞いたときは愕然とした。ただしこの頃、ぼくは親とあまり連絡を取っていなかったから、詳しいことは把握していない。親のことは兄任せだったからだ。

 それからしばらくして、今度はふたり暮らしで父の世話をしていた母親が、身体の病気に襲われた。おそらくストレスの積み重ねも原因にあったのだろう。母から病気を告げる電話があった日のことを思い出すと、今でも背筋に嫌な汗がにじむ。

次のページ 親の介護なんて想像してなかった