「国宝」という言葉が誕生して、ちょうど120年を迎えた2017年。京都国立博物館で開催中の「国宝展」が話題だ。京都は、国宝を多く所有する都道府県ナンバー2で、有形• 無形の文化遺産に溢れている。この町に暮らす三人が、「京都×国宝」をテーマに熱く語ります。

——みなさんは、国宝をどのように捉えていますか?

京都国立博物館にて。写真左から、佐々木丞平氏、井上章一氏、神居文彰氏

佐々木丞平(以下、佐々木) 国宝の根底は文化財保護法。まず貴重なものが重要文化財となり、その中から国宝が指定されますが、指定の基準はまず希少性です。失われると、古い時代の技術や材料などの追跡ができなくなるもの。そういう捉え方をすると、国宝にはわかりやすさがあると思っています。

神居文彰( 以下、神居) 平等院鳳凰堂は、平安時代の建物とその中の絵画や彫刻などの工芸品も全て国宝で、1カ所に最も国宝が集積した空間といわれます。国宝全般にいえることですが、つくられたときには、もちろん誰も国宝にしようとは考えていません。祈りなどの目的があり、そこに漆や紙、彫刻などの代えがたい技も詰まっていた。紙や木など、一瞬で失われてしまったかもしれないものが、百年、千年の単位で残ってきたことに奇跡を感じます。

井上章一(以下、井上) 昔の話ですが、知り合いのお坊さんが、寺の白檀の彫刻が国宝指定されて、それを展示に出したら、日に焼けて色が変色してしまったということを聞きました。

次のページ 国宝流出を食い止める日本 あえて抑止しないイタリア