チーズはカロリーが高く太りそうと思われがちだが、実はメタボや生活習慣病を改善すると考えられている。それどころか最近では、認知症や虫歯の予防効果が注目を浴びつつあるのだ(雑誌『一個人』2017年11月号より)。

◆チーズのカビや熟成が驚くべき効果を生む

 チーズには、牛乳の約10倍の栄養価がある。例えばスライスチーズ1枚(18g)に含まれる栄養分は、コップ1杯の牛乳(180㎖)に相当するほど。よく知られるように、チーズは良質のたんぱく質やカルシウムの宝庫であり、高齢になってたんぱく質が不足したり骨がもろくなったりするのを防ぐには絶好の食品だが、驚くべき健康効果はまだまだある。

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「生活習慣病が気になる世代にこそ、もっと積極的にチーズを食べていただきたいですね」と語るのは、チーズプロフェッショナル協会副会長で農学博士の堂迫俊一さん。特に注目したいのは、認知症の予防効果だ。

「チーズを熟成する過程で、脂肪が分解されて様々な脂肪酸に変化し、カビや乳酸菌の働きでオレイン酸アミドやデヒドロエルゴステロールという有効成分が生成されます。これが、認知症の原因となる物質を抑制するのです。特にカマンベールやゴルゴンゾーラなどのカビ系チーズは、脂肪を分解する力が強いので、認知機能の低下を抑える効果が高いと考えられています」。

 そうは言っても、塩分の強いチーズを食べ過ぎると血圧が上がるのでは…と心配する向きも多いだろう。ところが、意外なことにチーズには、高血圧を予防する効果もあると堂迫さんは言うのだ。
「1日に食べる量を考えると、塩分はそれほど気にしなくても大丈夫でしょう。チーズに含まれているカルシウムやカリウムは、血中ナトリウムを排出し、体内のナトリウムバランスをよくします。だから、チーズを食べても血圧が上
がらないのですね。また、チーズの熟成中に生成されるある種のペプチドには、血圧を下げる作用があり、熟成期間の長いカビ系のチーズほど血圧上昇を抑えます」。

 チーズが低GI食品であり、血糖値の上昇を抑える作用があることも、意外と知られていない。製造の過程でホエイを排除するので、ホエイとともに乳糖の大部分が排除され、糖質は非常に少ない。
「チーズに含まれている4種のアミノ酸やミリスチン酸という脂肪酸には、血糖値を下げる効果があります。お米やパン、パスタなど、高GI食品の炭水化物と一緒に食べるとGI値を下げるので、パスタやカレーにチーズをかけるのは、
理に適った食べ方なのです」。

 それでは、カロリーや脂肪の摂り過ぎなのでは…と気にする人もいるかもしれない。確かに普段の食事にチーズをプラスすれば、その分カロリーは増える。
「でも、食事の摂取カロリーを変えずに乳製品の割合を増やすと、体重は変化せず、体脂肪が減少して腹囲が減るという実験結果が出ています。それどころか血糖値、血中コレステロール値、血圧などの数値が下がり、脱メタボに役立つ。チーズは、医療費を削減するためにも有効な食品なのです」。

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