世界最悪の紛争地ソマリアに飛び込み、地元のギャングたちを脱過激化していく。誰にも真似のできないアプローチでテロと紛争に歯止めをかけようとする。NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事の永井陽右さんは、熱い志と、冷静な視点をあわせ持った、若き活動家だ。その活動の原点を聞く。

「世界で一番いじめられている人を助けたい」

ーーもともと、ソマリアでの活動をしようと思ったきっかけは何だったんですか?

 中学時代の僕はいじめの加害者でした。そのことを強く反省して、罪滅ぼしというか……いじめられている側につきたいという気持ちが漠然と生まれたんです。どうせやるなら、世界で一番いじめられている人を助けたい。日本でも東日本大震災を含めて大小いくつもの問題がありますけど、そこに目を向けて活動している人はたくさんいるし、日本ほど行政がしっかりしている国もなかなかありませんから。僕には世界で一番いじめられているのがソマリアの人たちだと感じられたんです。

 最初にソマリアで何かやろうと言い出したときには、多くの大人に反対されました。地球で一番危険な地域だと。でも一番悲惨な状況がそこにあるのに、「危険だからやめろ」というのは論理としておかしいんです。ソマリアをやりたいんだったらまず東南アジアで十年間修行しなさい、なんて言われましたけど、十年間ってお前ら誰もやれてないじゃんと思って(笑)。生意気ですけど、もう誰もできないならおれたちでやろうと言うようになりました。

 一、二年目にやっていたのは、日本でスポーツ用品を集めて現地に送る「Cheer up Somali Sports Project」と、あしなが育英会と協力してソマリアの戦争孤児が日本の大学で長期留学できるよう支援する「Study Abroad Project」です。これはもちろん無駄ではありませんけど、インパクトという意味では、「大したことをやっていない」と誰よりも僕がわかっていました。

 大人ができることをやっても意味がない、僕たち若者にしかできないことをやらないと意味がない。そういう思いがずっとあったんです。

 現地のニーズ調査をする中では、お金をくれ、治安をなんとかしてくれという要望が強く、それまでは大人のやることだと思って無視していたんですよ。ただ2013年に詳しくヒアリングしてみると、治安悪化の背景にいるギャングが二十歳前後の若者だということを知りました。僕たちは同世代だからこそ、ギャングとアクセスできるのではないか。そこから実際にギャングと会って活動してみることにしたんです。

MGギャングと議論
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