「ドンペリ」といえば、高級シャンパンの代名詞的な存在。熟成期間が長いことからヴィンテージシャンパンに分類されるが、満足のいくレベルのブドウを収穫できなければ、その年は製造しないというこだわりぶりだ。
 正確には「ドン・ペリニヨン」といい、シャンパンの発明者の名前に由来する。このように、ワインには人名に由来した銘柄や製法などが存在する。

 

 ドンペリと同様、最高級ワインとして名高いフランスの「ロマネ・コンティ」は、畑の名前が由来。しかし、この「コンティ」というのは、この畑を手に入れたブルボン調のコンティ伯爵に由来する。

 ブランデーのランクである「ナポレオン」は、かの有名なフランス皇帝に由来するという説が有力。このランクはコントといい、熟成年数を表している。これまでナポレオンはコント6で最高級ランクに位置づけられていたが、2018年4月からはXOがコント10となり、これを上回ることになった。

 こうした名付けは海外だけでなく、日本でも行われている。とくに、日本酒や焼酎には杜氏や当主の名がつけられたものが多い。

 プレミアム焼酎として知られる「森伊蔵」は、5代当主の父親の名前から命名。「村尾」も同様に、当時の名前から名付けられた。日本酒には「正宗」という名が付けられたものは多い。その由来が明らかにされていないものもあるが、人の名前が付けられていると、親近感を覚えるものである。

 こうした理由もあってか、最近ではラベルに相手の名前を入れてプレゼントするということが増えてきた。誕生日や結婚式、父の日のお祝いなどに使われているようで、酒好きには好評とのこと。中身は市販品と同じでも、自分の名が付けられていると、よりおいしく感じるから不思議だ。

 人名が付けられたお酒とは、発明者や皇帝を讃えるという大きな目的だけでなく、近しい人に親しみを込めたりする意味があるのかもしれない。日本語ならわかるが、洋酒の場合はじつはその名の意味すらわからなかったりするもの。ネットで検索すればすぐに答えが見つかるが、秋の夜長にラベルに書かれた言葉を辞書と照らし合わせながら訳してみるのもおもしろそうだ。

 雑誌『一個人』11月号では、「ワイン&チーズ」と題した特集を組んでいる。誌面にずらりと並ぶワインのなかから、気になったネーミングのものを選んでみる。そして、意味を調べながら味わうというのはいかがだろうか。