第一回では、借金とわかっていても使わざるを得ない奨学金とどう付き合えばいいかについて考えてきた。今回は、奨学金が返済できないときの救済制度の利用方法と、そもそもの奨学金延滞の原因となっていることが多い「労働問題」への対応法について紹介していきたい。要するに、「返せなくなった時の対処法」である。

・奨学金の返済に困ったら 救済制度をうまく活用しよう

 

 まず、返済に困った時点でも、JASSOが設けている救済制度を活用して状況を改善することが出来る。JASSOの救済制度には「減額返還」「返還期限猶予」「返還免除」の3種類が存在する。この中で返還総額そのものを減らすことができるのは「返還免除」だけだ。しかし「返還免除」は借りた本人が亡くなるか障害をおって就労不可能になるかが条件で、多くの人は対象にならない。

 そのため、「減額返還」もしくは「返還期限猶予」が現実的な解決策となる。「減額返還」は月々の返済額を半分に減らせるが同時に返済期間も倍になる。一方の「返還期限猶予」は1年単位で返済を先送りにできるという制度だ。使うには一定の条件を満たす必要があり、例えば「経済困難」で猶予申請する場合は年収300万円以下が目安となる。

 なお、これらの制度は全て、返済に困ったときに自分から申請しないと利用できない。そのためJASSOのHPから申請資料をダウンロードし所得証明書など必要資料を添付して郵送し、JASSOの審査が下りればようやく利用できる。そのプロセスは不明瞭な点も多いが、詳しい手続きのやり方や申請の際の注意点は、拙著『ブラック奨学金』(文春新書)で一つ一つ述べているので、ぜひこちらも参考にしてほしい。

 ただし、これらの救済制度は本人にしか利用できないため、保証人に請求が来ていても「返還期限猶予」は使うことができない。また年数制限もあり「返還期限猶予」は低所得の場合でも最長で通算10年間しか適用されない。

・「早め」の債務整理が重要

 では、JASSOの救済制度を使えない場合はどうすればよいだろうか。その場合は、法的に借金を減額したりなくしたりする「債務整理」が有効だ。債務整理というと自己破産を思い浮かべイメージもあまり良くないが、実は早めに借金を整理することのメリットは多い。

 というのも、JASSOの奨学金は延滞金がどんどん溜まっていってしまうため、耐えれば耐えるほど将来的な返済が苦しくなるからだ。いま破産せずに10年後破産すると、単純に延滞金の分だけ増えてしまい、それが保証人に請求されるだけなのだ。そのため、払えないと思ったらできるだけ早めに対処したほうがよい。

 また誤解している人が多いが、債務整理をしても生活に必要な最低限のものやお金を残すことはできる。その際、奨学金問題に精通している私たちのような支援団体や弁護士であれば、さらに返済額を減らすことができるかもしれない。手遅れになる前に、ぜひ一度専門家に相談してほしい。

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