聖光初の東北王者、こみ上げた涙

 

 初めてとなる秋の東北王者。スタンドへあいさつに向かった聖光学院の選手ちが歓喜の輪を作り、野球部の応援団、そして学校総出で応援に駆けつけてくれた生徒の大歓声をその身に受けながら感情を爆発させる。

 その傍らで、斎藤智也監督に肩を抱かれながら涙を流す横山博英部長の姿があった。

「いやぁ、簡単に泣けるもんなんだねぇ」

 閉会式が終わり、少し心が休まった頃、横山部長は照れくさそうに笑った。

「嬉しいというより感動が強いかな。選手たちは、最後の試練、その苦しみを受け入れて、よく戦ってくれたよね」

 横山部長が監督を務めるBチームの選手がAチームに昇格し(聖光学院は最上級生と主力中心のAチーム、下級生が研鑽を積むBチームと育成チームで構成されている)臨んだ今秋。聖光学院は福島県大会から圧倒的な強さで優勝を決め、東北大会を迎えた。

 選手の能力、野球の技術。そして、聖光学院が最も重要視する人間力。その全てが、現時点で歴代のチームよりも秀でている。新チーム発足から、試合を通じて成長するチームに触れるたびに、横山部長の拳に力が入る。

「今年、神宮球場(明治神宮大会)に行けなかったら、一生行くことはできないぞ」

 自らにもプレッシャーを与え、選手たちを鼓舞し続けた。「苦しい戦いが続く」。横山部長はそう檄を飛ばしながら、斎藤監督とともにチームの手綱を締めてきたが、東北大会では仙台南に7-0、利府に15-0、能代松陽に16-2と、想定に反し大勝で勝ち上がってきた。

 県大会の初戦で喜多方桐桜に3-0と接戦はあった。しかし、新チームの初陣という緊張感が作用した結果と捉えれば、花巻東との決勝は聖光学院にとって、秋では唯一のガチンコ勝負となった。

 4回表までに4-0と主導権を握りながら、その裏に2点を返されると、5回には同点に追いつかれた。斎藤監督が振り返る。