誰もが行う“歩く”という日常動作は、心がけ次第で健康的な運動となり、生命活動の活性にもつながるという。ウォーキング講師の上野敏文さんが、自ら実践する歩き方の極意を教えてくれた。

◆意識、姿勢、歩き方、三拍子揃えて理想の歩きに

「歩く、ということは特別なことではなく、誰しも日常的に行っていることです。まずは通勤、買い物など生活シーンの中で、歩く際にウォーキングという意識づけをしてみてください」と上野さん。

 

 たとえば、いつもの通勤時間にウォーキングという意識を持ってみよう。すると、自転車を使っている距離を歩いてみる、駅の上りエスカレーターを階段に替える、帰宅時はひと駅手前で降りて自宅まで歩くなど、さまざまな変化が可能になる。毎日、少しずつの変化でも、1ヵ月間、1年間と続けることで、大きな運動量の積み重ねになる。

「自分は歩くのだという意思を持つと、それがだんだん習慣になってきます。体も日々の習慣に応えて変化して、最初は辛かった階段もいつの間にかラクに上れるようになるわけです。そうすると歩くのが楽しくなってくるのです」。
 歩く速度を早くしたり、階段を上る機会を増やしたり、だんだんと負荷を増やしていこう。そうすれば健康維持から、筋力・体力アップを目指せるようになる。筋肉という器官は鍛えれば何歳でも、それこそ、70歳でも80歳でも増えていくそうだ。

 そんな毎日の運動となるウォーキングを楽しく、心地よく続ける上で、まず何より“姿勢”が大事だと、上野さんは言う。正しい歩き方は、まっすぐ立つことから始まる。ところが私たち現代人は、重心が左右のどちらかに偏っていたり、猫背になっていたりと、まっすぐ立つということが意外に難しかったりする。
「立った姿勢で肛門を締めるようにすると、自然と骨盤が立ってきます。さらに胸を開くように意識すれば、正しい姿勢になります。普段、歯磨きの時間やキッチンに立つ時などに意識して、正しい姿勢を習慣づけていくといいですよ」。

 歩く際には、自然なフォームを心がけたい。歩幅を無理に広げたり、腕を振りすぎる必要はないという。かかとで着地する時にドンと重心をかけてしまうと、膝に負担がかかり、痛めてしまうこともあるので注意が必要だ。
「後ろ足をしっかり伸ばすようにして、前足を自然に前へと振り出すようにすれば、重心が前に移動して、自然と体が前進していきます。さらに、“体幹”を広く使って、股関節をしっかり動かして歩くと理想的な歩き方になりますよ」。