「花火の町」長岡

連載「母への詫び状」第五回〉

新潟県長岡市の花火

 うちの実家がある新潟県長岡市という町について、いくらか紹介しておきたい。

 長岡は花火で有名な町だ。毎年、8月2日と3日に夏まつりの大花火大会が行われ、今や来場者は2日間で100万人を超える。

 三尺玉やフェニックスなどの大型プログラムが並び、近年はNHKやインターネットで生中継されるようになって、全国的な知名度も上がった。地元の人間は「おらんとこの花火が日本一だ」と胸を張る。

 ただし、そう自慢する人に、じゃあ大曲の花火大会は見に行ったか、土浦はどうだと聞いてみると、たいていは行ったことがない。

 地元で日本一の花火が見られるのに、なじょして(=なぜ)よその県まで見に行く必要があるのかと思っているので、長岡市民の多くは他県の有名な花火を現地観覧した経験がない。それでも「おらんとこが日本一」と、迷いなく言い切るのである。

 長岡の花火が他の有名な花火大会と異なるのは、毎年、日にちが決まっていて、曜日がズレるところだ。

 大きな花火大会はほとんど土曜か日曜と決まっている。観光客が来やすいように、カレンダーに合わせて日程が定められる。

 ところが長岡の花火は曜日に関係なく、毎年8月の2日と3日。観光客を集めることを優先するなら、土日の開催にしたほうがいいに決まっているのに、なぜそうしないのか。

 
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