6大会連続のワールドカップ出場を決めた日本代表で長きにわたり活躍を続ける長友佑都、その秘密。〈前編「アウベスにもマルセロにもなれない……」長友佑都が乗り越えた三つの涙〉につづく〈後編〉。数年前から始めたある取り組みと、ワールドカップへの思いについて。

〝食トレ〟でみつけた内側を変える重要性

 この頃、もうひとつ新たに取り組み始めたものがある。食事だ。

「ここ数シーズンは本当に怪我も多くて、何か変えなければいけないという思いはずっとありました。試合があると移動も多くて、寝る時間が数時間なんてこともあるんですけど、30歳を超えて体力だけでそれを乗り切るわけにはいきません。体に入れるものもしっかりとコントロールしなければいけない、という思いが食事改革へのきっかけですね」

 イタリアに移籍して以降、食事は外食が中心だった。むしろ、イタリアの食事が好きだった。日々の練習や試合の疲れを癒してくれる存在だったと言える。

「先ほども言ったとおり、年齢を重ねて何かを変えなければいけなかっ
た。これまできちんと取り組んでこなかった食事をもっと突き詰めてみ
よう、〝食トレ〟をしよう、と考えたんです」

 長友が取り組んだ〝食トレ〟は9月『長友佑都の食事革命』として一
冊にまとめられた。雑誌連載がベースとなっていることもあって、トレ
ーニングの足跡が知れるのが面白い。例えば糖質制限。

「そもそも僕はお米が大好きで、日本から取り寄せるほど。でも、糖質による弊害もあることは耳にしていました。だから糖質制限に関する本を買いあさって読みふけりましたね(笑)。そのうえで糖質制限を始めたら、最初はものすごく調子がいいんです。体脂肪率は改善されるし、体がすごく軽く感じられました。でも、これが正解だ、とは思わなかった」

 つねづね、長友は「自身がピッチに立ったときの感覚こそが一番大事」だと言い続けている。どんなトレーニングでも、それがたとえ世の中で絶賛されていようが酷評されていようが、自身がまず試してみてどういう感覚を得られるか、を重視しているのだ。

「いつもピッチで体のキレがあるかどうか。90分通して戦えるようになっているか、を羅針盤にしています。その点で糖質制限は、最初こそ良かったんですけど、だんだんエネルギーが足りない、ガス欠みたいな感覚に陥ることが多くなっていった」

 現在ではイタリアに専任のシェフを置き、アスリートにとって必要な糖質を取りながら、プレーの質を向上させている。

「食トレを始めてから、体に大きな変化がありました。疲れからのリカバリーがものすごく早くなってプレーでも好調を維持できています。体調面に関してはいいことだらけで、吹き出物ができやすい体質だったのがきれいになくなったし、花粉症すら改善されました。びっくりですよね。思ったのは、これまでやってきたことっていうのは対処療法でしかなかったんだな、ということ。内側から変えることをしっかりやっていかないと」

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