この年、梅雨明けが例年より12日も遅れた。ただでも短い大好きな夏がと、それはそれはオロオロした。天候異変は「いやな感じ」だ。

米軍がイラクに進攻して、サダム・フセイン大統領を捕縛した。カリフォルニアでは、シュワちゃんが州知事に当選。

わが国では衆院選で、圧倒的人気を背景に絶対安定多数の議席を獲得した第二次小泉内閣が発足した。

ヤンキースの松井秀喜選手は、オールスターゲームにも選出され、ワールドシリーズ進出を決めた第7戦では、ホームに滑り込んで雄叫びのジャンプを魅せていた。

セ・リーグではタイガースが18年ぶりの優勝。しかし、日本シリーズでダイエーホークスに敗れ、星野監督は辞める。

そして、宮城県北部地震が5月と7月のおなじ26日に起こった。震度6が三回も襲った7月は、負傷者600人以上、約5000戸の住宅に半壊・全壊の被害をもたらした。

ボクらは、りえ蔵と石川ちゃんらで鹿教湯温泉に泊まり、上田城と画家の岡本太郎さんゆかりの万治の石仏を見て、ご飯を食べながら御柱祭りのポスターに唖然としていた。

そしてボクは、江戸川区の臨界病院で腰の精密検査を受けることになった。

 

自分の身体がヤバいのかなって思った時、やっぱり自分の寿命を考える。日本人男性の平均寿命は78歳(現在は80歳)だそうだ。

時間を自分で管理し続けることができるのが、自由。まるで酔狂な夢を見てきたように、限りある命のなかで時間を忘れさせてくれるエロティックな本屋だった。子供のようにおもちゃ箱をひっくり返して、散らかっているのをみんなで面白いと喜んでいたんだろう。そうさ、美は乱調にあり。

ROCKだ。ヲタクだ。SMだ。サブカルチャーどっぷりの、小さな街角書店はメジャー版元や諧調を旨とする方々には、受け入れられなかったけど&いや、受け入れられるとは思ってないさ。25坪で、普通の本屋をやってどうするって心意気だけだった。

「こんなに素敵な本屋のことを、書き残すのは店長の責任ですよ」

「絶対に、ドラマ化ですよ。レオさんや博士にオーケンさんは、本人役で出て欲しいですよね!」

夢・幻って、現実とどれほど違うんだろうとつくづく考える。そうね、自分のこと恨んでない。あまり稼ぎにならないことばかりに、時間を費やしてきた。江戸っ子は、そんなアホを悔し紛れに 粋っつったんだろな!

いいさ、踊らされてバカは高いところに上ろう。最期まで、奔放に生きたっていうのも本当に粋でいい・・・・いのち棒に振ろう。

 

アタマの中には、RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」が流れる。

Scene.43 最終章。 本屋から、ありがとう! そして、・・・・

 

立教大学学園祭。キャンパスに足を踏み入れて間もなく、彼らが見える前に大音量のサウンドが降り注いできた。

頭脳警察!

時代が1970年代初頭とはいえ、白ヘルを被ったバンドはROCKそのものだった。エレキギターがキレッキレに空気を裂いて、ベースとドラムは空気を重く収縮膨張。そしてボーカルは、デモや集会の拡声器よりも強力な、アンプからスピーカーに繋いだマイクで歌うというより「銃をとれ」っと、アジっていた。

アジテーターか、ROCKのテロリストか! やわなフォークやROCK「風」を、ブッ飛ばすバンドがヤツら!

そして、時は流れた。あれから30年かな、という今日。その頭脳警察のボーカル、パンタさんと向かい合っていた。縁あって、ではなく縁とは、つくづく自分で手繰り寄せるものだなと思う。

『パンタとレイニンの反戦放浪記』。友人でジャーナリストの椎名礼仁さんと、この年の2月にイランを旅した際の思いを綴った本である。

彩流社刊行の出版記念サイン会で、立教学祭に佇んでいた二十歳の観客が、32年を経ての初対面となった。

椎名さんには、ボクも関わった中山ラビさんのライブでお会いできた。PANTAさんには、いつかライブに行ってご挨拶したい!存在が、ROCKだなぁ~

政治的な過激さからデビューアルバムは、発売禁止。あちこちのロックフェスに、出入り禁止。こっちも書泉の職場が書泉経営の雇った右翼暴力団によって、出入り禁止!

サイン会後の打ち上げに参加されるということだったので、パンタさんなら、そんな話も理解してくれるだろうと楽しみにしていた。学祭のライブから始まって、話題は山盛りでっと思っていたらサイン会が終わるタイミングでパンタさんに電話!

外に出たまま、なかなか戻らないパンタさんを探しに出たら・・・・

「店長。ごめん、オヤジが死んだ!」