森博嗣さんの新刊「道なき未知」。いよいよ11月15日に配本。目利きの書店員さんより感想をいただきました。
「森先生の言葉から想像力を膨らませていくと、私自身の新しい考えや体験になっていく」
――ジュンク堂書店池袋本店・文庫新書担当 福岡沙織
森博嗣著『道なき未知 Uncharted Unknown』/KKベストセラーズ刊/定価:本体1400円+税/全国書店、アマゾンで発売 ※写真をクリックすると新刊案内に飛びます。

 

 

 

 


 森先生の言葉は、カルピスの原液のようだ。あまりの濃度に、眼を白黒させてしまう。率直な物言いなのに、意味を掴むまでに3度読み直すこともある。例えば「僕自身は、道徳というのは行動だと考えている。しかし、世間一般で観察される道徳は、単に言葉だ。」…その心は。思わず心の中で合いの手を入れる。同時に、幼少期に大人に言われたこと、成人を迎えてからの経験を思い返す。こういう事だろうか?と予想をする。予想は当たることもあれば、自分では思いもよらない角度から考えが降ってきて、外れることもある。

 それが、面白い。カルピスの原液が水と混ぜると薄まっていくように、森先生の言葉から想像力を膨らませていくと、私自身の新しい考えや体験になっていく。

 勿論、想像が出来ず言葉だけが残るものもあれば、思わず反発するものもある。しかし、森先生は「ここに書いてあることだって、あまり信じない方が良い。役に立ちそうなところだけ、軽く掬い取って自分のために活用しよう。」と、私の引っ掛かりなどさらりとかわしてしまう。

 けれど、引っ掛かりや反発したものこそが頭の隅に残り、コツコツ経験を重ねると、ふっと腑に落ちる。逆に、早々分かった気になったものはすぐ忘れて、エッセイの中で繰り返し話題に出ることで、思い出す。…先生は、どこまでお見通しなのでしょうか?
(ジュンク堂書店池袋本店・文庫新書担当 福岡沙織)

(著者プロフィール)
森博嗣 もり・ひろし
1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。以後、続々と作品を発表し、現在までに300冊以上の著書が出版され人気を博している。小説に『スカイ・クロラ』、『ヴォイド・シェイパ』、『ダマシ×ダマシ』、『青白く輝く月を見たか?』など。エッセィに『自分探しと楽しさについて』、『小説家という職業』、『科学的とはどういう意味か』、『孤独の価値』、『作家の収支』、『夢の叶え方を知っていますか?』などがある。