男同士なら20代30代のころは下ネタばかり話していたなんて記憶がある人もいるだろう。しかし、40代も過ぎて家庭を持ち出すと、すっかり下ネタなんて話す余裕がなくなったという男性は多い。一方、女性同士ならどうだろう?「女の子同士で自分の性体験や欲求についての直裁な話をしあう機会が、あまりないようですね」とAV監督の二村ヒトシ氏は言う。その理由を宮台真司氏に尋ねると意外な答えが返ってきた。いま話題の性愛書『どうすれば愛しあえるの』を上梓したばかりの2人が処方箋を話し合った。

なぜ下ネタは話されなくなったのか

二村 女の子同士で自分の性体験や欲求についての直截な話をしあう機会が、あまりないようですね。

宮台 2010年ごろからなくなりました。その前の2005年ごろから大学生男子が飲み会で下ネタを避けるようになりました。それでも当時の女子は下ネタを続けていたけど、2010年ぐらいから同じようになりました。理由は双方同じで「誰もが乗れる話題ではないから」。

二村 聞きたくない話を聞かない権利は守られるべきでしょう。しかし教育だけじゃなくフランクな情報が共有されないことからも〝見えざる〞性経験の格差が生じるのかもしれない。

宮台 2005年ごろまでは男女混成の飲み会で下ネタが普通に展開していたから、今はそれができなくなったぶん、男が女を理解する機会も、女が男を理解する機会もなくなりました。加えて、90年代半ばまでは、男女混成の飲み会で、女がいろんな性愛の経験を話しました。

 今は、軽いSMプレイや複数プレイなんかを経験済みの女が多く、「歳の差恋愛中」の女もさして減っていませんが、2010年ごろまでと違って、女同士の飲み会ですら―特に「肉食系飲み会」と称しない限りは―情報としてシェアすることがなくなってしまいました。

 そのくらいだから、プレイ云々を横に置いても、恋愛の経験的知恵もシェアされにくい。だから、容姿だけじゃなくオツムも悪くないのに、女を粗末にする―〈物格化〉する―クズのような男に引っかかる女が大勢いて、失敗が続くから恋愛はコリゴリとなってしまう。
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