日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 11月は「七五三」の時期で、全国各地で子供の成長を願って神社への「七五三参り」が行われる。ご両親と一緒に「千歳あめ」を持った子供が神社に詣でる姿は、とても微笑ましい姿である。

 ところで、名字で「七五三」と書く方がおられ、「しめ」と読んでいる。「しめ」と読ませるのは、神社などに掛けられる注連縄(しめなわ)に関係があるようである。神社の鳥居には注連縄が張られているが、その注連縄には、七本・五本・三本に切られた三つの幣(へい)が垂らされている。この、七本・五本・三本から、七五三で「しめ(注連)」と読ませるのだと神社の神主さんから聞いたことがある。ちなみに、注連縄が張られるのは、「ここから先は神域に入るので、心を正して」と注意を促すために張られるものだそうである。

 

 名字の中には、同じように「七五三」の文字を使った名字で、七五三田(しめた)さんや、七五三木(しめき・しめぎ)・七五三野(しめの)・七五三掛(しめかけ)さんもおられる。また、山梨県には、「松七五三」と書いて「まつしめ」と読ませる方もおられる。松七五三さんは、名前も「一三」なので、名字と名前を合わせると、「松七五三一三(まつしめ・かずみ)」となり、数字ばかりの名前になってしまう。初めてお会いする方などは、どこまでが名字なのか迷ってしまいそうである。

 他に、「七五三」に関係する名字では、「千歳あめ」の、「千歳(ちとせ)」さんや「飴(あめ)」さんもおられる。

〈雑誌『一個人』2017年12月号より構成〉