全国大会金賞を目指し、日々厳しい練習に励む部員たちが綴ったノートにはどんな想いがこめられているのか。 常総学院、浜松聖星、旭川商業、市立柏、平商業、埼玉栄、岡山学芸館。 強豪校を中心に4月から10月に開催される全国大会までを取材。 友情・努力・涙・葛藤・プライド…。 ひたむきな高校生の青春を追いかけた感涙必至のノンフィクション。

 以下、序文より。

真新しいノートを開くとき

 
 

 校庭には桜が咲き誇り、廊下や教室には新鮮な春の空気が流れる。あちこちから響く生徒たちの笑い声でさえ、何か真新しい印象を与える。
 そんな2017年4月、全国の吹奏楽部に所属する高校生たちは新たな「ノート」のページを開いた。まだこの先は何が起こるかわからない。どんな喜びや苦難が待ち受けているかはわからない。音楽室の窓から差し込む優しい陽光を浴びながら、まっさらなページの先にやってくる未来への期待と不安に、体が小さく震える。
 目指す先は、10月22日に名古屋国際会議場センチュリーホールで行われる全日本吹奏楽コンクール高等学校の部。「吹奏楽の甲子園」だ。
 しかし、その輝かしいステージに出ることができるのは、全国でわずか30校のみ。その狭き門をくぐり抜けるため、吹奏楽部員たちは二度とは戻らない青春をかける。一歩一歩を「ノート」に刻みつけながら――。

 本書は、全日本吹奏楽コンクールを目指す7つの高校に取材した『吹部ノート』シリーズの第3作に当たる。取材は4月に始まり、全国大会が行われる10月まで続けられた。コンクールは毎年行われるものだが、そこで繰り広げられる高校生たちの嘘偽りのないドラマは決して同じものではない。
 ただただまっすぐに仲間たちと吹奏楽に打ち込む姿、その熱い思いや涙は、吹奏楽経験のあるなしに関わらず、きっと読む人の心を打つことだろう。
 それでは、今ここに、3冊目の「吹部ノート」を開こう――。

オザワ部長

常総学院高校 宇菅井思帆さんの部活ノート

 

【目次】

01 もう一度てっぺんに――恩師、中学時代の仲間たちと交わした約束
5月 常総学院高等学校

02 「誰かがやらなければ」 楽器をコンバートする決断。強い気持ちで前へ
5月 浜松聖星高等学校

03 自分が自分に助けられる。部活ノートで取り戻した自信を胸に
6月 旭川商業高等学校

04 日誌がつなぐ「過去」と「今」。強豪校のライバルは自分自身
7月 柏市立柏高等学校

05「音」で勝負――部活崩壊の危機、少人数編成のハンデを乗り越える
8月 平商業高等学校

06 メンバー落ちした先輩、一緒に名古屋に行けない仲間のために
9月 埼玉栄高等学校

07 怒り役の副部長を泣かせた、楽譜に書かれたメッセージとは
10月 岡山学芸館高等学校