現在はスマートフォンや携帯電話にもカメラ機能がついていて、いつでも気軽に撮影することが可能になった。何気ない日常風景をはじめ、メモ代わりにカメラをたちあげることも少なくない。
 撮った画像はクラウドなどを利用して保存し、いつでも見ることができる。アルバムを作ることも簡単で、何よりも無料で利用できるサービスが充実しているのがうれしい。撮った写真はその場ですぐに確認できるし、失敗してもデータを消去して取り直しすることも容易だ。そのため、1日1回は何かを撮影している、という人も多いのではないだろうか。

写真:photolibrary

 しかし、ひと昔前までは、カメラで撮影するということに特別感があった。コンパクトカメラが登場するまでは持ち運びやすいサイズとはいえなかったし、つねに持ち歩くということはなかった。レンズ付きフイルムが流行してからは若者を中心に持ち歩く人が増えたとはいえ、現像代がかかることからやはり記念となる1日を撮影することが多かったと記憶している。

 そんな「写真」の歴史をさかのぼると、日本に伝わったのは1848年、幕末のことだ。銀板写真(タゲレオタイプ)といわれるもので、金属板の上に焼き付けるために複製、いわゆる焼き増しは不可能だった。

 

 日本に残る最古の銀板写真は、薩摩藩の第11代藩主、島津斉彬が写されたものとされる。1857年に鹿児島城で撮影されたもので、国宝・重要文化財に登録されている。
 写真術に興味を持った斉彬は研究を進めたが、お由良騒動などの影響もあって順風満帆というわけではなかったようだ。しかも、調剤などの苦労があり、試行錯誤を重ねたといわれている。

 以降、偉人たちの写真が残されるようになった。幕末期は第15代将軍、徳川慶喜をはじめ、歴史に名を連ねる志士たちの写真も今に伝えられている。

 雑誌『一個人』12月号では、「維新150年! 謎とロマンに満ちた動乱期"幕末・維新"の時代を歩く。」と題した特集を組んでいる。幕末を駆け抜けた偉人たちの写真が掲載できるのも、当時に技術が誕生したおかげといえる。そうした歴史を感じながら写真を眺めると、いつもと違った表情に見えるかもしれない。