なぜ、北朝鮮は日本に対して、威嚇行動をとり続けているのか? そもそも北朝鮮はなぜ、この様な国家になったのか? 中ロ情勢に精通する歴史家、田中健之氏が「周辺」から北朝鮮の本質を考察していく。新刊『北朝鮮の終幕』より10回にわたってお届けしたい。〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥〉

粛清にはじまり戦争に終わるのが金正恩政権

 金正恩は、張成沢と金正男氏の中国を背景とする派閥に繋がる側近や同志た
ちを根こそぎ葬らなくては、金正恩体制は成立し得ませんでした。

 金正恩が権力を継承して間もない、2012年10月12日、『最後の勝利をめざして』と表題が付けられた金正恩の著作集を発表、この中に所収されている「革命家の遺児は万景台の血統、白頭の血統をしっかり継いでいく先軍革命の頼もしい根幹となるべきである」と題する書簡をこの中で次のように述べています。

「革命家の血を引いているからといって、その子がおのずと革命家になるわけ
ではありません。偉大な大元帥たちが述べているように、人の血は遺伝しても
思想は遺伝しません。革命思想は、ただ絶え間ない思想教育と実際の闘争を通じてのみ信念となり、闘争の指針となり得るのです」
(『最後の勝利をめざして』金正恩著、平壌・外国文出版社)

 同氏が言う、実際の闘争とはまさに、国内的には権力維持のための粛清であ
り、対外的には韓国の解放統一、南の政権を支えるいわゆる彼らの言葉でいう
ところの、米日帝国主義勢力の打倒、駆逐を意味しているのであります。粛清にはじまり戦争に終わるのが金正恩政権です。彼はその勝利を固く信じています。

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