18歳人口減少による「大学大倒産時代」の到来が叫ばれている現在、地方大学はどのように生き残りをはかっていく必要があるのか。『大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学』(朝日新聞出版)の著者・木村誠さんにお話を聞いた。

◆垣根を越えた「連携」の必要性

「今、地方で進学校を卒業した若者が地元の大学に入り、卒業して地元に残るケースが増えています。ただ大学進学先としては医学・看護系の学部が人気で、それ以外の分野で、地元の大学が受験生の受け皿がうまく作れていないというのが現状です。そこで、学生のニーズに対応できるよう、特色の違う大学同士がカバーし合う連携体制を作ることが理想的だと考えます」。

 

 連携とは具体的にどのようなものか。木村さんは続けてこう話す。
「たとえば今、国立大学の文系学部について縮小改編論が出ています。これが現実のものになると、地方の優秀な文系の高校生は地元での進学をあきらめざるを得なくなります。そこで、地方の私立大学がその受け皿を作るべきだと私は思います」。
 つまり、国立大学以外の選択肢を私立大学が作り、地域全体で学生のニーズに対応していく。このように、同じ地域の大学同士が地元の学生を逃がさないよう、連携をはかっていく必要性が出てきている。もちろん入試方法や難易ランク、伝統も違い、簡単にできることではないが、すでに大学の垣根を越えた連携の試みは始まっている。
 たとえば私立松山大学は、地元の国立愛媛大学と教育連携をしている。

 さらに都道府県単位で「コンソーシアム」という組織を作っている例がいくつもある。「コンソーシアム」とは、事業を複数の団体が共同で行ういわば連合のことで、同じ地域のいくつかの大学が教育・研究の面で連携をはかる組織を指す。大学がコンソーシアムで連携することの最大のメリットは、一つの大学では取り組みづらい事業について、複数の大学が参加することで規模が拡大し、相互に協力し合いながら取り組むことが可能になることだ。

 このコンソーシアムの成果なのか、いわゆる「地方」にもかかわらず、収容定員充足率について高い水準を実現している私立大学が複数校ある都道府県が存在する。それは、熊本県だ。
「熊本県には、九州ルーテル学院大学や熊本保健科学大学といった、収容定員充足率が全国的に見ても高い大学があります。様々な要因が考えられますが、『大学コンソーシアム熊本』の影響もあると見ていいのではないでしょうか。九州地方屈指の総合大学である熊本大学を含めた14の教育機関が、国立や私立、短大といった枠組みを飛び越えて連携できたことで、地域全体で教育の質を上げることに成功している、良い一例だと思います」。

 
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