年間に50人ほどの子供が虐待死している一方で、不妊治療を受ける人が増え続けている。2017年9月に開催されたセックスワーク・サミット2017秋「社会的養護と性風俗」において、特別養子縁組の現場の視点から、認定NPO法人フローレンス・赤ちゃん縁組事業部の藤田順子さんは、この問題について、こう語っている。
 

赤ちゃんの虐待死を防ぐために

 私たちは2004年から保育事業を通して、子どもの社会問題を解決するという活動を行ってきました。病児保育や待機児童解決のための小規模保育、障がいのある子どもの保育などの取り組みを続けてきたのですが、その中で子どもの虐待の問題にぶつかりました。

 保育所を運営している中で、困難な家庭のお子さんを預かることもあります。子育てが難しい家庭にたくさん接する中で、親子が健やかに過ごせるように支えていくこと大前提ですが、どうしても育てることが難しいとあらかじめ分かっている親子には、早くから介入して、親以外が育てるという選択肢があってもいいのではないか。

 そうした思いことがきっかけで、一昨年前から赤ちゃん縁組事業を立ち上げることになりました。

 赤ちゃんの遺棄・虐待死の現状について、今、年間に50人ほどの子どもが虐待死で亡くなっています。0歳から18歳までの統計になりますが、だいたい一週間に一人、子どもが命を落としているという現状があります。年齢別の内訳をみていくと、0歳児が毎年半分くらい、年間25人程度です。二週間に一人、遺棄や虐待で命を落としている。

 さらに内訳をみていくと、亡くなった0歳児のうち、約6割は生後0日、0カ月児です。赤ちゃんの虐待死のうち半数以上がその日のうち、生後二日から1か月の間に亡くなっているという現状があります。虐待死の加害者の統計をみると、9割が実母。産んだお母さんです。産んですぐに遺棄して亡くなっているという現実が垣間見えます。

 そうしたお母さんのうち、9割以上は望まない妊娠、計画していない妊娠です。妊婦検診も一度も受けておらずに出産に至ったという方が9割以上。非常に危険な中で子どもを産んでいることが分かります。

 毎月のように、高校生の男女が乳児の遺棄で逮捕、赤ちゃんが亡くなって発見された、といった報道がなされているのを見るとそれが想像できるのではないでしょうか。

 なぜ命を落とさなければいけなかったのか。予想外の妊娠ということにプラスして、高校生での妊娠や貧困、家族がいても相談できないといった社会的孤立、パートナーの裏切り、不倫、精神障がいで育てられない、性犯罪被害による妊娠・・・など。私たちは、こういった望まない妊娠に悩む女性を適切なケアで支えることで、赤ちゃんの虐待死はかなり防げるのではないかなと考えています。

 
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