創価学会が掲げる「人間革命」とは何か。その本質を考える上で重要になる言葉が「宿命転換」だ。宗教学者の島田裕巳氏が、新刊『「人間革命」の読み方』の中でこう説明する。

創価学会の教えを理解するキーワード「宿命転換」

 創価学会は仏教系の教団である。となると、人間革命は回心を現代的なことばで表現したものといえるのだろうか。

 それも可能だが、人間革命ということばの意味をより正確に理解するためには、やはり創価学会に独自な用語である「宿命転換」について考える必要がある。宿命転換は、創価学会の信仰を考えるうえでもっとも重要な概念の一つである。

 では、宿命転換とは何なのだろうか。

 創価学会のホームページ「SOKAnet」を見てみると、そこには、「教学入門」という箇所があり、そのなかで宿命転換について説明されている。

 その説明においては、通常の仏教の教えと、創価学会で信奉される日蓮の教えが対比されており、前者についてはただの「仏法」と呼ばれるのに対して、後者については「日蓮大聖人の仏法」と呼ばれている。

 人生においては、さまざまな悩みや苦難に直面することが普通である。その際に、「自分は何も悪いことをしていないのに、なぜ、このような苦しみを受けなければならないのか」と、疑問を抱くことがある。

 こうした悩みや苦難について、通常の仏法では、過去世における宿業(しゅくごう)の結果であると説かれる。仏法では、過去世における行為が因となって、それが現在世において結果としてあらわれ、また、現在世における行為が因となって、それが未来世に結果としてあらわれると説かれてきた。これこそが因果の考え方であり、そこから因果応報といったことばが生まれた。

 いくら自分が行ったこととはいえ、過去世における行動は今さら変更のしようがない。通常の仏法では、生まれ変わりをくり返し、そのたびごとに過去世においてすでにしてしまった罪業(ざいごう)を消していくしかないと説かれる。つまり、罪業の解消には膨大な時間が必要とされるのである。

 
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