創価学会の最重要書物である『人間革命』は、陰のベストセラーである。書店の売り上げランキングには毎年上位に食い込む。しかし一体どれだけの人がその内容を知っているのか。宗教学者の島田裕巳氏が新刊『「人間革命」の読み方』の中で、同書の内容に触れている。そこに書かれているのは、〝蘇生のドラマ”と“師弟不二(していふじ)の闘争〟だ。

小説『人間革命』の成り立ちとその世界

「人間革命」という考え方は「宿命転換」とも呼ばれ、創価学会の活動のなかできわめて重要な意味を持っている。創価学会の信仰の核心に位置しているといってもいい。

 では、人間革命をタイトルにした池田大作の小説『人間革命』には、どういったことが書かれているのであろうか。
 創価学会の公式ホームページ、SOKAnetでは、小説『人間革命』について、次のように説明されている。

 戦後、戸田第二代会長が創価学会の再建に一人立ち、75万世帯の弘教という誓願を達成し、後継の弟子・山本伸一(池田名誉会長のペンネーム)が第三代会長に就任するまでをつづった『人間革命』。日蓮仏法の信仰によって目覚めた人びとの〝蘇生のドラマ”と“師弟不二(していふじ)の闘争〟を描く、〝不滅の真実〟の一書なのです。

 この説明のなかには、創価学会において重要なことばとして、「師弟不二」が登場する。これは、師匠と弟子が一体の関係にあることを示したことばである。具体的には、牧口常三郎と戸田城聖、戸田と池田大作との師弟関係が重視される。そして、現在創価学会に属している一般の会員は、池田の弟子と位置づけられている。

 創価学会以外の新宗教教団では、その中心に位置する教祖は、親から子へと継承されるケースがほとんどである。それは、初期の新宗教である黒住教(くろずみきょう)や金光教(こんこうきょう)ですでに見られたことである。

 天理教の場合には、神のことばを取り次ぐ役割は開祖である中山みきから飯降伊蔵(いぶりいぞう)へと受け継がれ、伊蔵は「本席」と呼ばれた。しかし、しだいに本席よりも、みきの血を受け継ぐ中山家出身の「真柱(しんばしら)」のほうが教団の中核を担うようになる。伊蔵の後継者はなく、本席はそこで途絶えた。現在の真柱も中山家の人間である。

 
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