戦国時代を生き抜いた名だたる武将たちは、数々の名言を残した。現代を生きる我々にとっても、乱世に活躍した名将たちの言葉から多くのことを学ぶことができよう。
 歴史人1月号では、歴史研究家の渡邊大門氏が数々の武将の名言を紹解説してくれている。その中から、軍神・上杉謙信の言葉を紹介しよう。

  運は天にあり
  鎧は胸にあり
  手柄は足にあり
  上杉謙信

「上杉謙信の居城・春日山城に書かれた壁書の一節である。謙信は生涯にわたって、武田信玄などと死闘を繰り広げてきた。この謙信の言葉は、戦いに臨む際の心構えを説いている。

米沢市上杉神社の上杉謙信像

「運は天にあり」とは文字どおり、運命は天に任せるしかないということだ。「鎧は胸にあり」とは自分の身を自分で守るよう、用意を周到にしておくことを示しており、「手柄は足にあり」とは手柄は自分で勝ち取らなければならないことを意味している。
 実は、この続きがある(以下、意訳)。戦うときは敵を手の平で敵を転がすようにし(自分のペースに持ち込む)、死ぬ気で戦えば生き残るが、生への未練があると討ち死にしてしまう。運にすべてを任せるのは誤りで、武士ならば己の信念を貫いて行動せよ。
 謙信は毘沙門天を信仰していたが、決して神仏頼みではかなった。自らの力で運命を切り開いていこうとする力強い言葉だ。」

『歴史人』2018年1月号「戦国武将の乱世を生き抜く名言12」より〉