ブランド設立35周年というアニバーサリーイヤーを目前にした2017年、「累計1億本」という驚くべき数字を達成した『G-SHOCK』。なぜ唯一無二の存在になり得たのか、その秘密を探るべく、G-SHOCK製作に携わる、様々な立場の現役カシオ計算機社員に話を訊いた。

1人目は、G-SHOCKの「プロモーション」を担うキーパーソンを直撃!

カシオ計算機
戦略統轄部 時計戦略部
G-SHOCK BABY-G
グローバルプロモーション 担当マネジャー
国内プロモーション室 室長 

上間 卓さん

写真を拡大  G-SHOCK設立から5年後の1988年に入社。営業からスタートして、商品企画やマーケティングを経験。現在はプロモーションを統轄するなど、様々な立場でブランド黎明期から見続けてきた、G-SHOCKの生き字引。

紆余曲折を経て、ようやく辿り着いた

ーー2018年で35周年を迎えますが、設立当時を振り返ってどんな苦労がありましたか。

上間 90年代初頭に、米国からの逆輸入という形で若者に広がった後、94年頃よりサーフィンやスノーボードなどのスポーツを軸に、ファッションや音楽などカルチャーを通じた活動を開始しました。当時、時計業界でこのような提案はなく、独自のマーケティング手法を開発するなど多くの苦労がありました。しかし、今思えばそれが現在の確固たるブランド力の礎になっていると思います。

ーー累計販売台数1億個を達成できた理由は、なんだと思いますか?

上間 まず、5600というオリジンの存在が大きいと思います。リーバイスの501やアディダスのスタンスミスのように、世界的なブランドには、必ずマスターピースが存在します。それはいわばブランドの顔で、5600も今回の35周年アニバーサリーモデル然り、ことあるごとに登場します。そうしたアイコンがあることで、ブランドの軸ができますから。

ーーその5600ですが、当初はあまり売れなかったとか。

 

上間 実はそうなんです。あまり人気がなかったのですが、映画『スピード』で着用されたことがきっかけとなり、ストリートでの人気が急騰しました。その後も、形を変えずに継続展開していったことで、いわばレジェンド化していったのです。

ーーG-SHOCKといえば、ラインナップの幅広さも特徴ですね。

上間 今では数十万円もするハイエンドラインまで展開しています。ブランド展開のセオリーとしては、まずハイエンドラインを作り、それから低価格ラインを作るのが常識です。G-SHOCKの場合は、その逆なんです。常識とは違うアプローチですが、そうすることで10代の時に定番モデルに慣れ親しんだ人が、40代になった時にハイエンドモデルを愛用してもらえるという流れができ、結果ユーザー層が広がりました。

ーー2008年からのグローバル戦略は、それらの集大成なんですね。

上間 ええ、それまでの紆余曲折や地道な土台作りがあってこそ、出来たチャレンジです。その結果、ありがたいことに累計販売台数1億個を達成出来たのです。

ーーとはいえ、今スマホの普及により時計が売れないという状況がありますが。

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