「壬申の乱」や「戊辰戦争」など歴史上の出来事や、兵庫県の「阪神甲子園球場」の名前の由来には、暦が深く関わっている。普段、カレンダーや手帳で何気なく目にする、季節や年を表す言葉の意味とは?(雑誌『一個人』2018年1月号より)

◆知ればナットクの旧暦の仕組み

「和風月名や干支のほかに、カレンダーによく記されているのが『六曜』です。結婚式を大安の日に行ったり、葬式は友引を避けたりするなど、気にする人は多いですね。でも、本当はあまり意味がない(笑)」。
 そう話すのは、國學院大學文学部教授の新谷尚紀さん。

 室町時代に中国から伝わり、江戸時代の末から庶民の間で広まったとされる「六曜」だが、旧暦では現在の七曜(日月火水木金土)と同じように使われ、特に関心を持つ人もいなかった。
「明治に入って新暦が採用されると、旧暦に基づくその順番が不規則になり、それが複雑でミステリアスなものに感じられたのでしょう。いつの間にか吉凶判断の意味も付加されました」。

 旧暦と新暦の違いについても知っておきたい。現在私たちが使用しているのは新暦で、太陽の運行をもとにしたグレゴリオ暦だ。1582年、ローマ教皇グレゴリウス13世が採用し、今では世界共通の暦だが、原則として1年が365日に定められている。太陽の1回帰年を365・2425日と計算し、約3000年に1日の誤差
が出るだけの精密な暦だ。日本では西洋暦とも呼ばれ、1873年(明治6)から採用されている。
「それまでの太陰太陽暦では、月が地球を1周する約29・5日は1年で約354日となり、太陽が一周する365日とは11日のズレが生じていました。放置しておくと
暦と季節がどんどんずれてしまう。それを修正するために、19年に7回ほど、1年が13 カ月ある閏(うるう)年を設けて調整していたのです。ただし、農作業などでは季節を正確に知る必要があり、太陽の一周を基準とする『二十四節気』とセットになって、広く一般に浸透していました」。

 
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