「自分にしかできない仕事」を抱え込むのはもうやめよう。『トヨタだけが知っている早く帰れる働き方』(文響社)を上梓した桑原晃弥氏が、こうマインドチェンジを促す。

1人の人に仕事が集中するのはダメ

 仕事に追われ、長時間残業をせざるを得ない理由の一つに「1人の人に仕事が集中し過ぎる」ことがあります。そもそも「人が足りない」という理由もあるのでしょうが、あまりに1人の人に仕事が集中して満足に休みもとれなければ、毎日、遅くまで残業をしないと仕事が片付かないという人がいるのも事実です。

 もちろんその人がとても有能なのはたしかなのでしょうが、よほど特殊な技能や知識の持ち主でもない限り、1人の人だけに仕事が集中するのは好ましいことではありませんし、やはり組織として解決すべき課題と言えます。

 トヨタ式をベースとする生産改革を検討していたB社の経営者がトヨタを初めとするトヨタ式を実践している企業をいくつも視察するうちに、あることに気がつきました。

「自社のベテラン社員はあえて仕事を難しいままにしている」

 B社には部品や製品を保管するための大きな倉庫がありますが、何がどこに何個あるかはベテランの倉庫係にしか分からず、その人が休むとみんなが困り果てていました。

 あるいは、B社の機械設備は長く使っているものが多く、調整がとても難しく、ベテラン社員抜きには生産が困難でした。ベテラン社員はなくてはならない存在でした。

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