去る2014年1月9日、『メロスのようには走らない。』の刊行を記念して、著者の北原みのりさんと、漫画家・田房永子さんが「B&B」にて、トークイベントを行いました。北原さんと田房さんの軽妙な掛け合いに、終始笑いの絶えない2時間となりました。その一部を6回に渡ってダイジェストでお届けいたします!
 

第1回「2人は友だち?」 はコチラ

その2「女同士の挫折を味わって」

 

田房 北原さんがこの本を書いたきっかけは何だったんですか?

 

北原 1年ほど前、編集者から「女友だちと生きる」というテーマで書いてもらえませんか?とオファーを受けたんです。でも、私、別に女友だちと暮らしたいとか、そう思っているわけじゃないんだよね、っていう話をして、なかなか書けなかったんです。それで『走れメロス』のメロスがもしも女だったら、というのを一番初めに書いてみて。

 

田房 3章のところですね。

 

北原 そう、それでその後「メロスのほかに、半沢直子バージョンがあるんですけど」って言って。「直子は倍返ししません」みたいな(笑い)。そういうのを書きたいって編集者に言ったけど、「そうじゃなくてノンフィクションにしてください」って言われたんです。

 

田房 あはは。

 

北原 でも、寓話にした時は、すらすら書けたんだけど、女友だちの話で建前は書きたくなくて。女友だち素敵ですよ、みたいな話だったらあるかもしれないけど、でも女友だちのことを考えた時に、やっぱりすごく嫌な思いをしたこともいっぱいあるし、ケンカもしたし、私を裏切ったなって思うこともあるし、女友だちで痛い思いをしたこともいっぱいあるからそれを直視するのが怖くて。まだ傷になっているなっていうことが自分の中にあって。それをどのくらい吐けるのかなっていうのがあって、それをぐつぐつして1年かかって、できた本なんです。

 

■高校の同級生からの電話

 

 

田房 この本は、去年末に読んだんですけど、去年ナンバー1です。

 

北原 あれ、これ王宮?「すごいすごい!」の続きじゃないよね?(笑い)

 

田房 これは本当です(笑い)。今日は本心ですから!……いつも本心ですけど(笑い)。

ほんとに面白くて、泣いちゃうところもかなりあったし。私、この本を最初読もうと思った時に、自分の女友だちっていう存在が全然浮かばなかったんですよね。そういえば女友だちってそんなにいたかな、っていう気分で読んでたんですけど、エピソードを読んでいるうちに、自分の友だちとの思い出が蘇って、同じ体験をするみたいな感じの本だなと思いました。

 

北原 それはすっごく嬉しい。

 

田房 いろんな人を思い出しました。

 

北原 ディティールも本当のことを書いているので、本人に連絡をとって、本名とそうじゃないの、どっちがいいですか?って選んでもらったりとかしたんです。連絡とれない人には近い名前にしたりしながら書いてましたね。

本の中で、男の子の性欲の話を書いたんですけど、そしたら、高校の時の友だちから「あれ、〇〇君だよね?」って電話かかってきました(笑い)。「あいつ、気持ち悪かったよね」って(笑い)。

 

田房 みんな覚えてたんですね(笑い)。

 

■「恋人ほしい」の前にある欲望

 

北原 田房さんは男友だちと女友だちだったらそこに違いとかあったりしましたか?私は女友だちに幻想を持っていて……。『赤毛のアン』にはまってダイアナみたいな親友が欲しいって思った女の子ってすごく多かったと思うんだよね。「親友がほしい」って、「恋人がほしい」とか「セックスしたい」より先にきた人間関係の欲望みたいのがあったじゃないですか。

 

田房 あったあった!

 

北原 もしかしてそういうのが大学生くらいまで私の中にあったのかなと思うんですけど、田房さんは赤毛のアン現象みたいなのありましたか?

 

田房 私、祈ってました。学校でお祈りの時間があって、その時、「なんとかさんと友だちになりたい」とかってお祈りしてました。

 

北原 えっ?それ、祈るものなの?(笑い)仲良くなればいいじゃん、とか思うんだけど(笑い)

 

田房 祈ってるだけ(笑い)。全然会話噛みあわないのに(笑い)。憧れてたのかな。

 

 

■女友だちに男を寝取られて

 

 

田房 私、この本を読んで思ったんだけど、北原さんって生まれた時から北原さんなんじゃなくて、「北原さんは北原さんになっていったんだな」って思いました。

 

北原 えっ?どういうことですか?(笑い)

 

田房 ちゃんと女同士の挫折を味わっているというか。私、本の中でリエコさんの話が好きで。北原さんの彼氏と寝てしまったという女友だちの話なんですけど、すっごい素敵な話だから。

……ここだけ聞いてもわけわかんないと思うんですけど(笑い)、ほんとに素敵な話なんですよ。涙が出ちゃうし。こういう経験があって、北原さんは、年下の女の人に圧力的な感じでしゃべらない人になったんだなって思いました。

 

北原 さっぱりわからないんだけど(笑い)。友だちに彼氏寝取られてこんな女になりました、っておかしくない?(笑い)

 

田房 (客席に向かって)読めばわかります(笑い)。私は、リエコさんみたいな人いないんですよね。自分がヤッた相手と友だちがベッドインしたって話がないから……

 

北原 「ベッドインした」ってすごい言葉……(笑い)。

 

→第3回「休み時間の編みもの問題」に続く

北原みのり
1970年、神奈川県生まれ。コラムニスト、女性のためのセックストーイショップ「ラブピースクラブ」代表。時事問題から普遍的テーマまでをジェンダー視点で考察した寄稿・連載多数。著書に、『はちみつバイブレーション』『フェミの嫌われ方』『オンナ泣き』『アンアンのセックスできれいになれた?』『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』『さよなら、韓流』『毒婦たち(共著)』など。

 

田房永子
1978年、東京都生まれ。漫画家、ライター。実母との戦いを描いた「母がしんどい」が話題に。現在は、90年代に中高生だったあの頃を描く「青春☆ナインティーズ」、“しんどい母”を持つ人のインタビュー漫画「うちの母ってヘンですか?」、独自の方法で過食の治癒に挑む「呪詛抜きダイエット」等、WEBや雑誌でコミックエッセイを連載中。