去る2014年1月9日、『メロスのようには走らない。』の刊行を記念して、著者の北原みのりさんと、漫画家・田房永子さんが「B&B」にて、トークイベントを行いました。北原さんと田房さんの軽妙な掛け合いに、終始笑いの絶えない2時間となりました。その一部を6回に渡ってダイジェストでお届けいたします!

第1回「2人は友だち?」 はコチラ
第2回「女同士の挫折を味わって」はコチラ

第3回「休み時間の編みもの問題」

 

北原 女友だちと男問題が絡むことってあるよね。中学生くらいになると、お色気集団みたいなのがすごく大きくなったりするじゃない?私は共学だったんですけど、バレンタインとかクリスマス前になると、いきなり編みものが始まったりして。それもみんなが観客みたいな感じで、私がある子の編みものを横で見ていて、休み時間とかにちょっと触ると、テロリスト扱いされたり(笑い)。

 

田房 目がわかんなくなっちゃうから(笑い)。どこまで編んだかとか(笑い)。

 

北原 そうそう、それで「私の恋を潰した」とか言ってその泣き方が尋常じゃなかったりするわけよ(笑い)。あと、手相とか見あったりしていて、私が「ちょっと皺くちゃじゃない?」とか一言いったりするわけじゃないですか。そうすると「ひどい、そういうこと言う人って最低」みたいな感じで、また尋常じゃない泣き方をされたりとか。

 

田房 あはは。

 

北原 なにが起きてるんだろう、女の子に、みたいな感じで。そういう風に女の子が男の子を介してわけがわからなくなっていく種類の人が増えていて怖くなる時があったんだけど、そういう時に『パタリロ!』とかにハマっていたりする女の子と話ができたりして、楽しいっていう感覚がなかったらかなり辛かっただろうなとは思うんだよね。

 

田房 ほんとそうですよね。

 

■女子校では…
 

北原 でも、田房さんは女子校だから、男がいなかったらもっともっと女同士の友情が深まりそうな気がするんだけど、そうはいかなかった?

 

田房 たぶんそういう目線がないから、編みものもサラリとやってました。周りにアピッたりとかはしない、本当に編みたいから編んでるみたいな。「ここまで編めた」みたいなのを見せ合ったりとか。私もJリーガーに編んでたんですけど……

 

北原 Jリーガーに(笑い)。それ、渡したの?

 

田房 渡しました。岩本輝雄(てるお)っていうジャニーズ顔の人がいて、その人に渡しにいったりとか。みんなで「いいじゃん、この配色いいじゃん。テルに似合うよ」とか言ったりして。

 

北原 いいよね、そういうの楽しいよね。

 

田房 でもその時はテルが本当に着けてくれるのかどうかを考えながら真剣に編んでるから、私、女同士でそういうのが楽しいっていうのがあんまりなかったかもしれない(笑い)。「テルに対しての編み」しかなくて、楽しむ余裕がなかったんじゃかなぁ。

 

北原 テルの周りいる女の子たちはみんなライバルだったの?

 

田房 そうそうそう、岩本輝雄ってベルマーレ平塚にいたんですけど、練習場があるんですよ。そこに行くと会えたり、サインもらえたりして。そこにファンが書き込むノートが置いてあって、「こないだのあいつはなんとか選手の車が出る時に飛び出していてすごい迷惑かけてた。謝れ!」みたいなことが女同士で書いてありました。大人になってネットで2ちゃんねるを見たとき、あのノートみたい! って思いました。

 

北原 ほんとだね(笑い)。

 

■「石ころタイプ」に憧れて

 

 

田房 私、結婚して子供が産まれてから、ほっんとに男の人が憎たらしくなって…(身震いする)。

 

北原 そんな震えるほどに……(笑い)。

 

田房 そう、北原さんと全然違うのが、私、男の人に憧れてたんですよ、10代の頃。オトコオトコした歌とか、オトコオトコした本とか読んで…。男の人って、「オレてっぺん目指す」みたいなタイプと、「オレは道に転がる石ころだ」っていうタイプの2ついません?

 

北原 えっ?!(笑い)その2つでいいの?(笑い)

 

田房 はい、私、その石ころタイプに憧れていたんですよ。それで泥臭い男の話とか読んでいて。でも、今は、なんでこんな本が家にあるんだろう、って思うくらいメンタルが変わっちゃったんですよね。

 

北原 私、けっこう男同士の話とか、男しか出てこない映画とか好きなんだけど、とたんに男の人が女の人を描くととんでもない話になってたりとかするじゃない?

 

田房 そうですよね。

 

北原 私が大学生ぐらいの時、村上龍とか村上春樹がすごく売れていた時代だったんだけど、読んでると頭おかしくなるし、これがいいって世界に生きていたら死んじゃうかもって思って。男の小説家は、すごく信頼できる女友だちが「これいいよ」って言ったものしか読めなかった。渡辺淳一とかを読むときは、赤ペンを持って批判する気持ちで、ひとつの娯楽として読むみたいな。「これ、おかしいでしょ」って線を引いたりとか。

 

田房 添削…(笑い)。

 

北原 そうそうそう、そうじゃないと読めないんですけど、みたいな感じでした。

 

 

→第4回「安田成美が友だちだったら死にたくなる」に続く

北原みのり
1970年、神奈川県生まれ。コラムニスト、女性のためのセックストーイショップ「ラブピースクラブ」代表。時事問題から普遍的テーマまでをジェンダー視点で考察した寄稿・連載多数。著書に、『はちみつバイブレーション』『フェミの嫌われ方』『オンナ泣き』『アンアンのセックスできれいになれた?』『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』『さよなら、韓流』『毒婦たち(共著)』など。

 

田房永子
1978年、東京都生まれ。漫画家、ライター。実母との戦いを描いた「母がしんどい」が話題に。現在は、90年代に中高生だったあの頃を描く「青春☆ナインティーズ」、“しんどい母”を持つ人のインタビュー漫画「うちの母ってヘンですか?」、独自の方法で過食の治癒に挑む「呪詛抜きダイエット」等、WEBや雑誌でコミックエッセイを連載中。