去る2014年1月9日、『メロスのようには走らない。』の刊行を記念して、著者の北原みのりさんと、漫画家・田房永子さんが「B&B」にて、トークイベントを行いました。北原さんと田房さんの軽妙な掛け合いに、終始笑いの絶えない2時間となりました。その一部を6回に渡ってダイジェストでお届けいたします!
 

第1回「2人は友だち?」 はコチラ
第2回「女同士の挫折を味わって」はコチラ
第3回「休み時間の編みもの問題」はコチラ
第4回「安田成美が友だちだったら死にたくなる」コチラ
第5回「"写ルンです"のトラウマ」はコチラ

第6回「みんな"ババア"に怯えてる」

 

北原 私、昔自分が20代の時に40代になったらどうやって生きていくんだろうとか、想像ができなかったんですよね。今でも覚えてるんだけど、大学生の時に田嶋陽子さんが講師の一人を務めていらした「花婿学校」というのがあったんです。男をこれから改革するんだって、フェミニスト陣が講師で、日本青年館で開催してたんですよねぇ。

 

田房 超楽しそう(笑い)。

 

北原 すごく面白くて(笑い)。いけてない男もいっぱいいたんだけど、どちらかと言えばフェミニストの女の人がたくさん参加してた。そこでいろんな世代の人と出会えたのね。私が19とか20くらいだったと思うんだけど、10個くらい年上の女の人と仲良くなって。それで今思えば彼女29とかなんだけど、一緒に歩いていて、「こんなに長く歩いて大丈夫かな」って心配したの。

 

田房 えーっ!(笑い)

 

北原 夜遊びに行きましょうって一緒に飲みに行って夜中ずっとクラブとかで遊んでる時も、「あの人ずっと踊ってるけど大丈夫かな?」とか心配してた。年を取ることが想像できなく、どんな世界が待ち構えているのかわからず、年を取ることが私はとても怖かったんだよね。

 

田房 うんうん。

 

■女は呪いをかけられて生きている

 

北原 でも、いずれはそこに自分が入っていくってことじゃん。だからどっかでその気持ちをやめて自分より年上の人と付き合わないと、自分が年とるの苦しくなるなって思って、そこからの偏見からどうしたら自由になるかって考えていったんだけど、女性が年をとっていくと、今までブスとか言われていたところに「ババア」が加わってくるわけじゃない?

 

田房 うん。

 

北原 何を言っても「ババアの嫉妬」だとか言われてしまうところが社会の空気として残っているから、そこで生きていくのって、自尊心高めて自由に生きてやりたい放題やっていける女友だちがいないと、この社会生きていくのきっつすぎるわって思ったんですよね。

 

田房 ほんとにそうですよね。でもなかなかいないんですよ。

 

北原 いるよ~。

 

田房 北原さんのまわりにはたぶんいるんですよ。だから私もちょっと入りこんで……おこぼれを……

 

北原 おこぼれ?(笑い)その被支配体質やめた方がいいよ(笑い)。

 

田房 ですよね(笑い)。でもなかなかいないんですよ。みんな「ババア」に怯えているんですよ。怯えるのやめようねって言っても伝わらないっていうか、そういう概念がない人のほうが多いし。

 

北原 でもすごく親しかった10歳とか20歳上の人の手の青筋とか見た時に、「……っ!」て思う自分がいて。でも、いずれ自分に青筋が立つ日がくるわけじゃないですか。そしたらそれを怖くないとかその呪いを解くようなことをしていかないと苦しいよね、って思うんだよね。女ってすごい呪いをかけられて生きてるじゃないですか。

 

田房 ほんとにそうですよね。

 

北原 誰もが若い時は同じ同世代の友だちの中での美醜ってあるけど、だんだん誰もが同じように年をとっていって、自分が一番恐れていた存在になるっていうのがあるよね。でも、ちょっと先を見れば美魔女が歩いているし、なんか自由な人もいっぱいいるからついていこう、みたいな気持ち。

 

■友達になりたくても怖がられる?

 

 

田房 私は、北原さんに比べて女友だちをそんなに重要視していなかったのを感じるんだけど、私はさっきの支配的な関係、男性社会の上司と部下みたいな関係の年上の女性しかいなかったから、それが不幸だったなって思います、すごく。

 

北原 でもそういう人も多いよね。私はどっちかっていうと、年上の女が大好きだったから、年上の女の人の友だちがすごく多いんだけど、ふって気づいたら、年下の女友だちがそんなにないなって思って。近づいていこうとすると、すごく緊張したりされるわけ。田房さんも「なに近づいてんの」ってそう思ったでしょ?(笑い)

 

田房 こんなに普通にしゃべってくれる人がいるんだってびっくりしました(笑い)。

 

北原 友だちになりたいなと思って普通にいったけど、すごく怖がられるからどうやって付き合っていいのだろうとか。

 

田房 そういう教育がないんじゃないかな。年上の女性が怖いっていうのもありましたね。学校の先生とか怖かったし。

 

北原 ……私たち、そんなに年離れてないよね?(笑い)

 

田房 でもそういう感じなんですよ、私にとって。ちょっと年上になると、構えなきゃいけないっていう思い込みを持ってたっていうのが悲しいことだったんだなって。

 

■女友だちとの格差

 

 

田房 あと、この本、お金の話もすごく楽しくて。お金によって女友達に格差が生まれるかっていう話。私、26歳の時に世界堂っていう画材がいっぱい売ってるお店に行ったら、高校の同級生がレジの前にいて買い物してたんですよね。それで「あれ?あの子かな」って思ったんだけど、その子がどう見てもすんごい高そうな服を着てたんですよ。高そうな長財布にゴールド的なカードがいっぱい入ってて、これは超金持ちと結婚した、としか考えられない。ちょっとマダムみたいになっちゃってて、でもそれが似合ってたんですよ。それで声かけられなくて、私、あの時に、あの子が普通にユニクロとか着てたら話しかけてたなって思うんだけど、その格差を肌で感じちゃったというか。男だけじゃなく、お金っていうのも女友だちの壁になるものなのかなって思いました。

 

北原 林真理子さんが『野心のすすめ』で書いてたよね。一人がビジネスクラスに乗って、一人がエコノミーだったらどうなるのでしょう、みたいな。

 

田房 昔、友だちと海外旅行しようってなった時があったんですけど、でも友だちが祝日じゃないとスケジュールが空いてなくて、だから金額が上がっちゃったことがあったんです。それは私にとってすごく痛手だったんだけど、でも、思い切って出したんです。その時、「私は友情をとった!」と思いました。

 

北原 あははは。

 

田房 すっごい頑張ったな、って思います。断るっていう選択が浮かばなかった自分が楽しいなって思いました。

 

北原 いい話でオチがついたところで、もうお時間が来てしまいましたね。本日はどうもありがとうございました。

 

田房 ありがとうございました。

 

<完>

 

北原みのり
1970年、神奈川県生まれ。コラムニスト、女性のためのセックストーイショップ「ラブピースクラブ」代表。時事問題から普遍的テーマまでをジェンダー視点で考察した寄稿・連載多数。著書に、『はちみつバイブレーション』『フェミの嫌われ方』『オンナ泣き』『アンアンのセックスできれいになれた?』『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』『さよなら、韓流』『毒婦たち(共著)』など。

 

田房永子
1978年、東京都生まれ。漫画家、ライター。実母との戦いを描いた「母がしんどい」が話題に。現在は、90年代に中高生だったあの頃を描く「青春☆ナインティーズ」、“しんどい母”を持つ人のインタビュー漫画「うちの母ってヘンですか?」、独自の方法で過食の治癒に挑む「呪詛抜きダイエット」等、WEBや雑誌でコミックエッセイを連載中。