プロ15年目、37歳。サッカー選手としてベテランの域に入った、川崎フロンターレの中村憲剛選手に次の質問をぶつけました。「今もサッカーは楽しいですか?」

将来を嘱望されていた人間ではなかったからこそ

 えっ、楽しくなさそうに見えますか(笑)?
 確かに試合中はヘラヘラしているわけにはいかないですから、苦しそうに見えるときもあるかもしれませんが、やっぱり楽しいですよ。喜びもある分、悔しいこともありますし、自分のサッカー人生を振り返ったとき、悔しいことのほうが多いですけど、それも含めてサッカーであって、自分自身の結果だとも思っています。

 たまに、「好きなことを仕事にするのは大変ではないですか?」と聞かれることがありますが、何をもって大変と思うかは人それぞれ。僕は、おそらく、それが大丈夫なんです。

 そうすると、続いて「想像を絶するプレッシャーとか苦しみがあるんですよね?」とも質問されるのですが、実はそのたびに「そうでもないです」と答えているんです。
 それは何でかと言うと、これに尽きます。
「好きなことをやっているから」

 自分の好きなことをやって、僕はお金をもらっていますし、そこに対して、あまりにもプレッシャーを感じていたり、押しつぶされそうになっていたら、それこそ、好きなことに失礼ではないかなと思ってしまう。

 

 ましてや僕は将来を嘱望されていた人間ではなかった。だから、そのプレッシャーすらうれしくもあるんです。例えば、これが15〜16歳のときから、日本代表に選ばれて、絶対に勝ち抜けなければならない試合を何度も何度もやってきているならば、また考えも変わっていたでしょうけど、僕は周りから期待されるのが未だにうれしくて仕方がない。
 それだけに、その期待に応えたい、応え続けたいという思いは、今も変わらず持ち続けていられるのかもしれません。

中村憲剛選手の連載は本日で終了です。1カ月間、ご愛読ありがとうございました!