全国の書店、コンビニで発売中!『日本酒一個人vol.1』より、日本全国で、日々、さまざまなタイプの日本酒が誕生している。どれを飲めばいいのか悩まれる方も多いはず。そこで、日本酒に熱い思いを持つ達人たちが、種類別や目的別に今飲んでおきたい逸品をご紹介します。

<魚料理に合う日本酒>

選者:葉石かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長。国内外でサケエクスパート資格取得セミナーを開催。近著に『日本酒のペアリングがわかる本』(シンコーミュージック)など。

キレ、辛み、酸の効果でより
あか抜けた味わいに昇華

「大まかにいえば、甘めのものより、飽きずに飲み続けられるような辛みがあるタイプがお薦め。また脂の乗った魚であれば、それをすっきりと切ってくれる酸があるといい。酸は味の核でなく、アクセント的に使っている日本酒がいいですね」(葉石) ちなみに甘辛の煮つけなどにはアミノ酸が豊富で、濃醇で骨太な味わいの山廃などもよく合う。

「播州一献」山廃純米 雄町 

 “岡山県産雄町”を100%使用し、半年間熟成。酸は角が取れた優しく円みのある味わい。
「さまざまな温度帯で楽しめるが、なんと言ってもお燗が断然お勧め。 米の旨み、甘み、香ばしさを存分に感じられる。魚料理全般にオールマイティーだが、甘辛く煮付けたキンメや、潤沢な脂を蓄えたノドグロなどとのペアリングは最強。人気の希少銘柄で売り切れ続出なので、見つけたらマストバイ」(葉石)

山陽盃酒造
所在地/兵庫県宍粟市
価格/720ml:1300円 1800ml:2500円
原料米・精米歩合/雄町(岡山県産) 65%

 

「亀萬」純米限定酒

 日本最南端の日本酒醸造元で、醪の温度を多量の氷を加えて調整する“南端仕込み”という独自の方法が用いられている。
「魚の脂に負けない濃醇なボディと、軽めのすっきりとした酸。米の旨みが味の中心としてダイレクトに感じられるように置かれている。青魚全般によく合うが、こと鯖との相性は抜群。刺身でよし、しめ鯖や、鯖寿司などの酸ともきれいに共鳴し、次の杯を誘います」(葉石)

亀萬酒造
所在地/熊本県葦北郡津奈木
価格/720ml:1143円 1800ml:2300円
原料米・精米歩合/神力・レイホウ 60%

 

「月の井」純米吟醸 彦市

 創業慶応元年(1865)、漁師町・大洗町に江戸時代から続く蔵とあって、特に魚に合わせた酒造りが身上。
「今回リストアップした『魚に合う日本酒』の中では一番軽め。ひとくち目は軽いかな?と思わせ、やがてどんどん旨みが舌に広がり、フィニッシュは寄せて返す波のようにきれいに引いていく。魚料理全般に合うが、特に白身魚や、脂がそこそこある中トロの刺し身、マグロの漬け、焼き魚などとの相性が良い」(葉石)

月の井酒造店
所在地/茨城県東茨城郡大洗町
価格/720ml:1450円 1800ml:2750円
原料米・精米歩合/越神楽(大洗町産) 59%

 

「日高見」芳醇辛口 純米吟醸 弥助

 大の寿司好きとして知られる社長の発案で、寿司との相性に主眼を置き、およそ3年という構想を経て生み出された純米吟醸。
「穏やかに香り、酢飯の軽い酸味と旨味に心地よく共鳴し、最後に辛みで幕を降ろすという匙加減が心憎い。寿司だけでなく、焼いた貝など、寿司屋のつまみにもよく合う」(葉石)

平孝酒造
所在地/宮城県石巻市
価格/720ml:1800円 1800ml:3000円
原料米・精米歩合/蔵の華(宮城県産) 50%

 

「南方」超辛口純米

「春夏秋冬、黒潮が育んだ獲れたての旬の魚介が楽しめる和歌山ならではの、魚料理を知り尽くした超辛口の造り。辛さの限界に挑戦し続けている蔵としても知られるが、旨味もしっかりあり、米の旨みを上手に味わわせてくれる純米酒」(葉石)
 白身魚から青背まで幅広く応じられる、魚好きにはたまらない1本。

世界一統
所在地/和歌山県和歌山市
価格/720ml:1200円 1800ml:2500円
原料米・精米歩合/山田錦 60%

 

「手取川」山廃仕込 純米酒

 熟練の技を受け継いだ次期蔵元杜氏により変わり始めた「吉田酒造店」。
「冷、常温ではフルーティーさと、ほのかな酸味が感じられるが、温度高めのお燗にすれば青魚の煮付け、秋刀魚の塩焼き、西京焼きなど、しっかり味の魚も鷹揚に受け止めてくれる。エレガントな柔らかい酸味は山廃の概念が変わるはず!」(葉石)

吉田酒造店
所在地/石川県白山市
価格/720ml:1330円 1800ml:2650円
原料米・精米歩合/山田錦(兵庫県産)、五百万石(石川県産)60% 


<吟醸&純米[3000円以下]>
*3000円以下は一升瓶の価格です

 
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