大人になるということは、見られる、ということ。
つまり、見られる、ということに備える武器を、僕たちはこれからのステージで身につけていかなければならない。大人であることの証明、きっとそれを先人たちは「作法」と、名付けたのであろう。置かれた場所において、ふさわしい振る舞い、相応しい時計を身につけられる大人になりたい。
そんな男のための、大人の時計作法入門。
一貫ずつ供される新鮮な鮨をおもむろに手に取る。その刹那、美しいシルバーブレスの輝きが特別な空間をより極上なものへと昇華させてくれるようだ。

寿司屋にシルバーブレス。

 どこに行くにも、何をするにも仲間と一緒だった学生時代を経て、社会人となった今はおひとり様も随分板に付いてきた。でも、寿司屋のカウンターにひとりで座るのは、いまだに緊張してしまう。これぞ、まさしく真に大人の登竜門といったところか。寿司の頼み方はちゃんと覚えたが、問題はそんな手順の話じゃない。「まだまだ青二才」なんて思われないよう、大人の貫禄を示したいのだ。となれば、服装はシックに、眼鏡もクラシカルに、そして決め手は時計。本格的な寿司屋では、手掴みで食すのが常識。美しく握られた寿司に伸ばしたその手に、寿司職人も一家言ありそうな常連も、その視線は必然的に集まる。言うまでもなく、安っぽい時計なんてNG。といってもやたらに高級時計を着けるのも嫌味。年相応の価格帯で構わないが、せめてその見栄えには上質さを薫らせたいものだ。

新鮮な江戸前鮨を豪快に頬張る。瞬く間に広がる旨味に、思わず相好を崩してしまいそうになる。至極の品に失礼なきよう、ネイビーのノーカラージャケットに清潔感のある白シャツ、手元には美しい〈タグ・ホイヤー〉のシルバーブレスを。

 そこでお役立ちなのが、シルバーブレスタイプ。ポイントは、メタル素材の重厚感。見た目にも重みのあるブレスは、例えカジュアルなニットやノータイであっても、充分に大人の貫禄を示せる。ラバーベルトやナイロンストラップなどはもちろん論外だが、ではレザーベルトでない理由は何か? レザーベルトの場合、仮に長年使い込んでエイジングされていると、素手で食す際にそれが目に触れるのは、やはり印象が悪い。シルバーブレスのソリッドで無機質な感じは、つまり清潔な印象を与えられるというわけだ。
 単に自己演出だけを目的とせず、清潔感という周囲への気配りもちゃんと鑑みた時計を選ぶ。それが大人の時計選びにおける作法であり、すなわち粋ってヤツだ。

撮影協力:銀座天川