定時に新宿を発車。東中野付近からは延々と続く直線コースに入り、全く揺れることがないスムーズな走りっぷりだ。吉祥寺付近の高架区間では左遥か前方に富士山が見え隠れするのに気づく。立川に停車後、左に大きくカーブして多摩川を渡る。今度は右手に富士山の麗しい姿が現われた。

立川~日野間で車窓から見えた富士山

 八王子に停車し、かなり乗ってきたけれども、車内はまだまだ空席がある。車内放送では自由席は混雑しているとのこと。空席に荷物を置かないようにと繰り返し注意していた。

 高尾を通過し、いよいよ山岳地帯に差し掛かる。カーブが連続するけれど、列車は徐行するでもなく心地よいテンポで走る。空気ばねによる車体傾斜装置、それに振動制御装置フルアクティブサスペンションが編成中の全車両に備わっているので揺れが少ない。先代のE351系「スーパーあずさ」は振り子式の揺れが気になり、酔う人もいただけにこの新型車両が好評なのも頷ける。

 谷間を流れる桂川が見えてきた。空を飛んでいるかと錯覚しそうなくらい高いところに架かる大鉄橋も一瞬で走り抜け、愉快な富士急の車両が停まっている大月もあっさり通過だ。その後も山間部をひた走り、笹子トンネルなどいくつもの長いトンネルを抜けると左手に甲府盆地の大パノラマが広がる。列車は、盆地の縁を反時計回りに半周しつつ高度を下げ、甲府に到着した。甲府駅ではかなりの乗客が降り、それを埋め合わせるように何人かが乗ってきて出発となった。

甲府盆地のパノラマ

 甲府の市街地を外れる頃から、列車は次第に高度を上げる。左手には南アルプスの雄大な山並みが見えてくる。線路が右に左にとカーブしている関係で、左手前方に八ヶ岳が姿を現した。カーブを走行する時は、車体がわずかながら傾くのが体感できるけれど、滑らかな変化なので違和感はない。八ヶ岳は、まもなく定位置の右手に落ちつき、小淵沢を通過して長野県に入ると右手正面にすそ野を広げ、やがて後方へと消えていく。

 八王子を出て以来、甲府に停車しただけだった「スーパーあずさ11号」は、新宿を発車して2時間が過ぎ、蓼科高原の入口に当たる茅野に到着した。冬のリゾート地を訪れる人が数人ホームに降り立つ。誰もが振り返ってスマホで乗ってきた車両を撮影している。新しい車両なので物珍しいようだ。

八ヶ岳山麓を快走するE353系
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