「ひとり女性下着売り場」僕はへーき。なぜなら…

「ひとり女性下着売り場。これはキツい。カミさんが病気のとき、代わりに男のオレが買いに行かなきゃならなくなって。あれは人の目が気になるし、本当に勇気がいる」

 なるほど。男性には確かにキツいのかも知れない。10年前なら、同意しただろう。しかし、今なら首を振る。

「女性下着売り場なんて、全然へーきへーき。母親を介護する立場になったら、そんなの構ってられない。人の目なんか、これっぽっちも気にならなくなるよ」

 初めて母親の下着を買いに行ったとき、自分は困ったのか、恥ずかしかったのか。よく思い出せない。

 特に記憶がないということは、おそらく周囲の視線を気にする余裕もなく、何もわからない中で、適切な下着を的確に選ぶことに神経を注いでいたのだと思う。

 目的の品がおむつなら、介護用品売り場に置いてあるが、普通の下着とあまり変わらない軽度の失禁ショーツは、下着売り場に置いてあることが多い。だから堂々と下着売り場に行くしかない。

 違いがわからなければ、店員に聞く。適切な下着を選ぶとは、もろもろそういう意味だ。おひとりさま行動のハードルの高さなど、介護の前ではたちまち崩れ去る。 

 下着やおむつの話題は広げにくいが、靴下ならいいだろう。

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