忙しい現代日本人にとって入浴時間は、日々の疲れを癒す貴重なひと時だ。とりわけ「入浴剤」を使用した際には、心身ともにリラックスできることと思う。ではこの入浴剤、実際にはどのような効能があるのか? そもそも、入浴剤はどのように誕生したのか? 株式会社バスクリンの広報責任者であり、“お風呂博士”の石川泰弘さんにお話を聞いた。

◆入浴剤の歴史は明治時代にまでさかのぼる

 

 せわしない現代人にとって、湯に浸かりのんびりするという時間を捻出するのは難しい。だが、「残業で遅くに帰宅したとしても、10分、湯に浸かることで、よい睡眠ができ、疲れにくいカラダにすることができます」と、お風呂博士こと、バスクリンの石川泰弘さんは力説する。“さら湯”ではなく、入浴剤という魔法のスパイスを入れ、目的に応じて使い分けると…心身ともに健やかになる道が開けてくるという。まずはそんな入浴剤の歴史を紐解いてみよう。

 日本で最初に市販された入浴剤といえば、明治30年(1897)に発売された「くすり湯浴剤中将湯」にたどり着く。もちろん古来、習慣として薬草や生薬を入れた湯はあるが、製品としてはこの浴剤中将湯が元祖なのである。浴剤中
将湯はそもそも婦人病に効果がある生薬であり、現在も販売されている家庭薬のロングセラー。当時、製造過程において出る残ざん滓し (生薬を刻んだ残り)を、社員のひとりが自宅に持ち帰って、お風呂(といってもタライでの行水)に入れて、子どもを沐浴させたところ、あせもが治った。さらにはポカポカと温まった状態をキープできるということがわかり、改良・商品化され銭湯向けに販売されたのだった。
「たちまちヒットしたのですが、冬場はいいけど夏場は身体が温まりすぎる、たまったもんじゃない。クーラーどころか扇風機もない時代のことです。そこで、夏向けの入浴剤が開発されました」

 それが、昭和5年(1930)に誕生した「バスクリン」。当初は浴剤中将湯と同じく、販路は銭湯のみだったが、内風呂が一般に普及した高度経済成長期には、“遠くの温泉より我が家で温泉気分”のキャッチフレーズとともにバスクリンが爆発的に売れたのだった。

 
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