時価総額9000億超え、好調のアップルだが「旧機種の速度を意図的に低下させたこと」を認めた。買い替えを促すものではないとしているが、「優れた製品」か、「金儲け」か、価値観の変化は起こりえる。ジョブズのものづくりの根底は何だったか。

■「史上初の時価総額1兆ドル企業」の下地を作ったジョブズ

 アップルが絶好調です。2017年11月に発表された第4四半期決算がウォール街の予測を大きく上回っただけでなく、直後に発売された「iPhоneⅩ(テン)」も好調ということでアメリカナスダック市場では株価は177ドル(1月12日現在)を超え、時価総額も9000億ドルを突破しています。

 

 この数字はグーグルを傘下に持つアルファベットやマイクロソフトの時価総額を大きく上回り、年内の「史上初の時価総額1兆ドル企業」誕生が現実味を帯びてきたことを示しています。創業者のスティーブ・ジョブズがスマートフォン市場の幕開けとなるiPhоneを発表したのは2007年6月のことですが、以来10年余りで同社株は約1300%も上昇、時価総額ランキングも70位から圧倒的な1位へと躍進していることから見ても、アップルにとってiPhоneの威力がどれほどのものだったかがよく分かります。

 そんな好調アップルが昨年12月、好調iPhоneについて長い間、多くのユーザーが感じていた「旧機種の動作を意図的に遅くすることで、新機種への買い替えを誘導しているのでは」という疑惑に対して、「速度を意図的に低下させたこと」は認めたものの、その目的は「買い替えを促すことではなく、バッテリーの劣化に対応した処置」であるという説明を行いました。

 そしてその後、アップルはバッテリー交換プログラムなど現実的な対応策を発表、旧機種を新機種に買い替えなくとも、長く快適に使うという選択ができるようにしようとしていますが、ここに至るまでのアップルの対応に不満を覚えたユーザーは少なくなかったようで、結果的にアップルはユーザーよりも売上や利益を重視しているのではないかというあらぬ疑いをかけられることになったのです。

 企業は時に新製品の販売や新規客の獲得に注力するあまり長年のファンや旧製品をおざなりにすることがありますが、アップルのケースもアップル製品が好きで長く支持してきたユーザーが売上げや利益、新製品のためにおざなりにされたと感じたことが問題を大きくすることにつながったのかもしれません。

 
次のページ スカリーに追放された過去