「音楽を売る人間は自分も一音楽ファンであることを忘れるな」。大の音楽ファンだったジョブズが既存のデジタル音楽プレイヤーや音楽サービスを一蹴し「iPod」、「iTMS」を開発、成功を収めた。ヒットを生み出すジョブズが大切にした「ユーザー視点」とは。

■ジョブズのものづくりの基本――「ユーザー視点」

 

 スティーブ・ジョブズのものづくりの基本は、複雑で高度な技術をごく普通のユーザーが簡単に使えるものにする、ことにあります。最初のアップル時代、マッキントッシュのためのユーザーマニュアルを執筆する担当者が「ユーザーマニュアルは高校3年生でも読めるように書かなくてはならない」という当時の常識を口にしたところ、ジョブズはこう異議を唱えたといいます。

「いいや、小学1年生が読めるようにすべきだ。いっそ小学1年生に書いてもらった方がいいかもしれない」

 今日では当たり前になりつつありますが、今から30年以上も前、ジョブズが目指していたのは分厚く読みにくいマニュアルなどなくても使いこなすことのできる、ユーザーにとって易しく使いやすい製品だったのです。

 こうしたジョブズの「ユーザー視点」がいかんなく発揮されたのが、アップルに復帰したのちの2001年に発売されたiPоdや、2003年にサービスを開始した「iTМS」の開発過程です。

 
次のページ 究極のユーザーが開発した「iPоd」