医療分野において最新機械が登場するとしばしばニュースになります。ですが実際、機械の性能と医療の質の高さは比例するのでしょうか。放射線治療専門医として大船中央病院に勤務し、SBRT(体幹部定位放射線治療)において世界トップクラスの治療実績をもつ(肝臓がんで世界1位、肺がんで国内2位)、武田篤也氏の著書『最新科学が進化させた世界一やさしいがん治療』より、最新機械のリスクについて紹介します。

■古すぎる設備はダメだが新しければいいのでもない

 

 放射線治療は、当然機械を用いて行います。だから、その機械があまりにも古いようではいい治療が期待できません。それに、ひどく古い機械を使っているような施設は、そこで働く医師のモチベーションも高くないかもしれませんから、敬遠したほうがいいでしょう。

 しかし、新しければいいというものでもありません。最新の機械について調べ、それを置いている病院を選ぶ患者さんもいるようですが、実は、その機械を使いこなせる医師がいないという笑い話にもならないケースは多々あります。

 大船中央病院では、近々新しい機材が入るものの、現状の二台のうち一台は導入してから一三年ほど経っています。いわゆる「汎用機(はんようき)」ですが、それで良好な局所制御率(照射を行った部位において再発がない割合)を保てています。その機械の能力を把握し、最大限に利用すれば高度な診療が可能です。

 たとえば、肝細胞がんに対するSBRTは、二〇一四年までに全国累計で二〇〇〇例弱行われています。そのうちの四〇〇例、つまり五分の一が大船中央病院によるものです。さらに、二〇一七年までの治療例は六三〇例を超えています。

 おそらく、大船中央病院の何倍も高価な機材を持ちながら、その機械の能力を十分に活かしきれずに、基本を遵守しない治療を行っていたり、一日数人しか治療を行っていない医療機関はたくさんあることでしょう。

 たとえばフォーミュラ・ワンでは、日々、車を改善させ、ライバルとしのぎを削っています。しかし、車だけが最新で、ドライバーやチームスタッフの腕が悪ければ、速く走れません。それどころか、しばしば故障してしまうでしょう。

 大事なのは機械より、むしろそれを扱う人、そしてチームワークです。

 
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